第18話 体育祭前日、生徒会メンバーと

 真緒との生徒会種目、瑞希とのダンス、カラメルとの喧嘩、後輩たちの問題……そんな色々あった体育祭前の日常も過ぎ去り、いよいよ体育祭前日となった。


「皆、ここまでお疲れ様でした。明日も朝から準備があったり、運営などいろいろありますがよろしくお願いします! とりあえず、お疲れ様会しようか」


「いや鳥山先輩、早くないですか?」

 こういうのって、体育祭が終わったりした時にやるものでは?


「まぁ、体育祭終わったら、皆友達とかと、するかなぁって」


「あっ、確かにそうですね」

 言われてみれば確かに。俺らもたぶん、打ち上げをやるだろう。


「なら2回やった方がお得じゃない?






 というわけで、学校から程よい距離にあるレストランでお疲れ様会をすることに。

 レストランでは、生徒会で活動したグループで主に座席を分けた。俺らのグループはそれに鳥山先輩が加わった感じだ。


「「「「「「かんぱーい!」」」」」」



「いやぁ、色々あったね」

 カラメルがしみじみと、今まであったことを思い出すような感じで呟いた。


「色々ありすぎたわ、ほんと……」

 生徒会に入ったはいいものの、カラメルの件もあって、来間の件も大変だったし。


「まぁ、後輩君もよく頑張った」

 

「宮本先輩、あなた方先輩たちは、もう何も起こさないでくださいね」

 もう平穏なのは先輩だけだわ、ほんと。癒しだわ、マジセンパイ最高。




 そういえば、と思い出した俺は


「そういや、来間の件はどうなった?」

 と質問する。


「あの3人は、学校辞めるらしいっすよ。その後、どうするか知りませんけど」


「まぁ、あれだけの事やるとそうか……来間は大丈夫か?」

 まぁ、当然と言えば当然か。停学で済んでいたとしても、もう学校にはいずらいだろうし。


「もう、大丈夫です! 木葉も本当ありがとう。先輩も、ありがとうございました」


 そうして話していると、カラメルが食いついてきた。


「そういや、斗真。なんか見てなかったんだけど、あの後どうなったの? 木葉ちゃんが凄いらしい、っていうのは分かったけど」


「ああ、それはっすね……」


「小鳥遊? 内緒にするって約束したよね?」

 小鳥遊? 何言おうとしてるんだ。


「私、元ヤンっすよ? まぁ、しょうがないっすね。じゃあ、私と成海の分奢ってください」


「ったく、もう……でも、ドリンクバーぐらいならいいぞ」


 てか元ヤンで脅すのズルくない? 怖いよ。

 ただ、珍しく先輩心というものが刺激されたのか、流石にあの件で、小鳥遊はとても活躍したし、来間も辛かっただろう、と思ったのでドリンクバーぐらいなら奢ってやろうと思った。


「「いぇーい!」」


「それってあり? 斗真って、後輩に甘くない?」


「そうか? まぁでも、今回ぐらいはな」

 内心、うやむやにできてラッキーとも思ったけど。





「お疲れ、安佐川君。生徒会はどう?」

 少し食べ、腹を休ませていると、鳥山先輩が話しかけてきた。


「鳥山先輩、凄く助かりました。生徒会も楽しいですよ」


 最初は、面倒くさいなぁという気持ちが強かったけど、なんやかんやで皆と絡んだり、話したりするのは楽しい。


「それで、結局安佐川君はどうするの?」


「どうするのと、いうと?」


「体育祭が終わったら辞めるらしいじゃない」


「いや、まぁそうっすね。元々、カラメルのために入って、迷惑が掛からないよに体育祭まではいるつもりだったんで」


「私としては、ずっと続けて欲しいんだけどね~? まっ、それも安佐川君らしいけどさ」


「先輩たちは一応秋ぐらいまででしたっけ?」


「そうだね。まぁ、でも夏に選挙あるから実質はそこまで、かな」

 先輩達は受験生だから、特に大変だしな。


「なるほど」


「安佐川君を会長に推薦したら案外面白そうだよね」


「絶対にやめてください」

 死ぬまで呪いますよ。


「まっ、私たちも体育祭で大きいイベントは終わりだけどねぇ。基本、秋冬が忙しいし」


「確かにそうですね」

 

 生徒会役員が入れ替わるのもそうだし、すぐに文化祭もある。クリスマス会みたいなイベントも企画しないといけないし、卒業式なんかもある。


「まぁ、斗真君は上手くやれてるし、後輩とも仲良くやれてるじゃん? だから困ってたら助けるぐらいはしてあげてね。それからちゃんと勉強はした方がいいよ? 3年になって苦しむから」


「それは、聞きたくなかった。生徒会のことは……考えておきます」


「うん! あっ、後輩もいいけど、先輩も忘れないでね?」


「忘れませんよ、絶対に」

 ほんと、生徒会は良い人ばかりだな。







「先輩は、どの競技に出るんすか?」

 ふと、小鳥遊が俺に聞いてきた。


「玉入れと生徒会種目だよ」


「えっ、先輩生徒会種目出るんですか! それは楽しみですね……私たち、生徒会種目担当するんで!」

 来間がノリノリで言ってくる。


「うわっ、最悪だ」

 お前らだと、嫌な予感しかしねぇよ。


「で、誰と出るんすか? 桜葉先輩っすか? カラメル先輩っすか?」

 まぁ、普通ならそう思うか。


「いや、普通にクラスメイトの久遠さんっていう女子と出るよ」


「うわっ、先輩……女キープしすぎじゃないっすか?」


「うるせぇよ」

 まぁ、形的にキープみたいになってるけど……俺も答えを出さなければならない。


「先輩って、い、意外にモテますよね」


「意外、ってのは余計だ、来間」

 いや分かるけど、わざわざ言わなくてもイイジャナイカ。


「い、いえそうじゃなくて、なんか色々多いなっていうか」


「先輩って、不器用なくせにたまにホームラン打つから厄介なんすよ」


「厄介て」

 俺をほんと何だと思ってるんだ。


「ほんと、木葉の言う通りですよ。全く……」

 なんで来間は納得してるんだ? 




 長いようで短く、とても濃かった準備期間も終わり、いよいよ明日は体育祭本番だ。

 

 そして、様々な事が絡み合う、体育祭がついに開幕する――


 

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