第17話 再開の試合

「団長遅かったじゃん」

「剣振ってたら遅くなった」

「団長? 決勝前に疲れるようなことしないでくれよ」

「悪かったってセレスト」


セレストから疑いの視線を向けられて視線を逸らして自分の椅子に座って試合場で向き合うゼーストとノルンを見た


『再開された試合の制限時間は1分間です!

 再開の合図は団長にしていただきます!』


椅子から立って声を張った


「第参試合、再開!」

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ゼーストとノルンの動きは対称的だった


ゼーストは距離を詰める

ノルンは動かずに相手の動きを見極める


「相変わらず対称的な戦い方の2人だね」

「お前とツェルンもそこそこ対称的だぞ」


アレストとセレストが視線をゼーストとノルンに視線を向けたまま話していた


ノルンはゼーストの拳をギリギリ躱しているような感じだ


(ゼーストもノルンも体力がわずかだろうな……)


ゼーストが大きく拳を振りかぶったらノルンも拳を構えた


会場に鈍い音が鳴った


「マカト準備しといてくれ」

「準備は出来てるったい」


『ゼースト隊長とノルン隊長! お互いの顎に拳が綺麗に入った!』


ゼーストとノルンが同時に倒れた

先に起き上がる方が勝ちとなる


『ゼースト隊長! ノルン隊長! 同時に立ち上がりました! ですが2人とも立っているのがやっとの状態です!』


フラフラしながらも立ち上がる2人を見て観客席から声があがった


「ノ、ノルン様! 勝ってください!」

「ゼースト隊長! 後は意地だ! 頑張れ!」


隊長としての2人の意地を見て観客席の人達の見る目が変わった


それは良いことだろう

喜ぶべきことだろう

けど俺は唇を噛んで吐き出すように呟いていた


「今も昔も変わり身が早いな」

「落ち着け」


隣に座ってるポルトの言葉を聞いて1回深呼吸をした


「2人ともすごい意地じゃん……」

「あの2人はすごい負けずぎらいだからね」


「負けずぎらいだからこそお前達全員を隊長にしてるんだよ」


セラストがゼーストとノルンを見ながら言った


「その言葉は隊長が全員揃ってる時に言ってほしいったい」

「嫌だ」


『嫌だ』と即答したセラストに仕方ないと言うように隊長達が肩をすくめた


「それより2人のことを最後まで見てろ」


セラストが2人から視線を外さずに言った


ゼーストとノルンが同時に拳を構えた


『両名! 同時に拳を構えた!』


静寂に囲まれた会場で2人は拳を構えて笑っていた


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楽しい

もっともっと

続けたい

だからノルン


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負けられぬ

もっともっと

続けたいのじゃ

だからゼースト


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「なぁノルンまだ倒れるなよ!?」

「のうゼーストまだ倒れるでないぞ!?」


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