第4話 異世界到着

「マサキさん、話は終わりましたか?」

「イヨさん、まだ話したいことはありますが・・・」

「申し訳ありません、長く話すことは・・・」

「わかってます、話せた事自体無理をしているのでしょう?」

「・・・はい。私の神格が高ければもう少し色々出来たのですが。」

「言っても仕方ないでしょう。」

「はい。それでは魔王退治に向かってもらいます。

マサキさんが向かうのはメゾネードという世界です。」

「魔王がいるということは魔物も?」

「ええ、魔物もいれば魔法もあります。

イメージとしてはRPGゲームの世界と思ってもらってかまいません。」

「・・・テンプレかぁ。」

「そうとも言います。いいですか命は一つしかありません。

絶対に無理をしないでください。」

「わかっています、俺は絶対に帰ってくるのですから。」

「マサキさん・・・

どうかご武運を。」

「行ってきます。」

マサキの姿が消えメゾネードに向けて旅立っていったのだった。


・・・


「ここが、メゾネード?

野原だな。」

俺は見知らぬ森に倒れていた。

「着の身着のままか・・・」

俺の姿は寝ていた時のジャージのままだった。

せめて靴ぐらい履かせて欲しいものだが・・・


愚痴を言っても仕方ない、俺は周囲を確認し、森を抜ける為に進み始める。


しばらく森を進んで行くと何やら人の声が聞こえてきた。

「人がいるのか?」

俺は声のする方向に向うのだが・・・

「離せ!離すのだ!

誰か!誰かおらんのか!助けてくれ!!」

3匹の緑色をした人ではない二足歩行の生き物に押さえつけられている男性を見つける。


・・・こういった場合、助けを求めるのは女性なのではないのだろうか。


少しテンプレから外れていることにガッカリしつつも助けを求める人を見捨てる訳にはいかない。


とはいえ手ぶらで突撃するほど俺は無謀でもない、俺は隠れながら武器になるものを探す。


その間にも男性はズボンをずらされ・・・


やばい、早く助けないと見たくもない光景が始まりそうだ。

俺は焦りながら探していると殴りかかれそうな木を見つける。

「これならやれるか。」

俺は息を殺し、再度近づく。


これからのお楽しみなのか、警戒心を緩めて男に近づく化け物の背後に回る。

「ふぅ、集中しろ、近所の爺さんの言葉を思い出せ。」

俺は、近所爺さんから教わった示現流を思い出す。

「我が刀に二の太刀は要らず、初撃にすべてをこめよ・・・」

俺は教えを呟き、集中していく。

「一度刀を握れば、相手を殺るべし・・・」


「キェェェ!!チェスト!!」

俺は猿叫とともに間合いを詰めら男に近付こうとしていた化け物の脳天に渾身の一撃を喰らわせる。


グシャ・・・


俺の一撃は油断していた化け物の頭を砕いたようだ、俺の手に頭を砕いた感触が伝わってくる。

殺した・・・

俺の脳裏に生き物の命を奪ったという感情が湧くが、まだ敵と対峙している状況である。


『相手をやるまで感情を捨てろ。』


この状況で頼れるのは爺さんの言葉だ。

俺は気持ち悪さを飲み込み、残り二匹に向き合う。

一匹がやられた事に動揺しているのか、二匹とも狼狽えている。


好機!!


「チェスト!」

俺は近くにいたもう一匹にも一撃を喰らわせる。


グシャ・・・


再度、頭を潰した感覚に襲われるのだが今はどうでもいい、もう一匹仕留めなければならない!


俺は自分の感情を鎮め、魂の叫びとともにもう一匹の脳天にも一撃を喰らわせ、退治に成功するのであった・・・

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