4.戦闘

有能なメイド件ストラップ件美少女に連れられて、俺は森の中を歩いていた。

道中に出てきた魔物達は、全てホタルが一撃で仕留めてくれた。


「水の音がするな、近くに川でもあるのか?」

「そのようですね。このまま進んで行けばいづれ川にあたると思います。」


こうして俺たちは川に出たのだが。


出たのだが........


「赤い.....」

「赤いですね.....」


川の水が明らかに普通の色じゃないのだ。

赤い。しかも結構濃い赤だ。

深く、どす黒い気味の悪い色をしている。

これは川なのか...?


「ホタルはなにか知ってるか?」

「このような色の川は知りません.....山脈の方から流れているみたいですね。」


さすが鮮血の森。まるで川に血が流れているようだ。

ファンタジーと言っていいのか分からんが、変なところで異世界感を味わってしまった。

明らかにやばい色をしているが、飲んだり触ったりしなければ、別にどうということは無いだろう。

ということでまた歩きはじめる。

この川は街まで続いているらしいので、そのまま川に沿って歩くことにした。


しばらく歩くと、ホタルが何かを感じ取ったのか、辺りを見回している。


「どうしたんだ?」

「ご主人様、トレントが近付いてきたので倒してきます。」

「トレントって何!よく分からないけど取り敢えず頼んだ!」


ホタルの姿が消えた。

どこに行ったんだろう。

辺りを見回す。

あ、居た。

川の向こう岸に銀髪がみえた。

どうやって渡ったんだ。

結構な川幅だぞ。

向こう岸に居るヤツを相手するのか。

あぁ、たしかに、なんかいるな。

木みたいなやつ。

あれがトレントか。

なんか今凄い音しなかった?

あっ、倒した。

一撃だった。

1本の大木がなぎ倒される。

すげーな。

刀をしまうと、倒れた木を物色しはじめた。

何かを取っている


川の方をよく見ると、魚が泳いでいたり、鳥が水に浸かって獲物を探していたり、鹿のような生き物が水を飲んでいたりと、普通の川のような穏やかな光景が目の前に広がっている。

変なのは色だけで、普通の川なのだろうか。

地球にも赤潮と呼ばれる現象があるのだし、似たようなことがこの川でも起こっているのだろうか。


「ただいま戻りました」


そんな事を考えていたら、ホタルが戻ってきた。


「お疲れ様」

「んふふ」

「ホタルはとんでもなく強いんだな...。貧弱な俺がご主人様だなんて不甲斐ない。」

「そんな事ありません!ご主人様は力を自覚してないだけで十分お強いです!」

「ありがとな、嘘でも強いって言ってくれて」

「嘘ではありません!ストラップの所持者は特別な恩恵が与えられるのです!その力は絶大で、世界を変えてしまうほどの強さなんです。」

「まじか」

「では、試しに【鑑定】スキルを使ってみてはどうですか?

どのような恩恵が与えられているのか、ストラップを鑑定すればわかると思います。」


え、何?本当に強いの?

ということで、スキルというものを使ってみることにした。

えぇと、どうやるんだ。


「....【鑑定】」


できた。

ブォン!

目の前に、電子画面が現れた。



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青緑の魔力大結晶 《蛍石》 装飾品



所持者の願いを叶えると言われる伝説の装飾品。

所持者には様々な恩恵が与えられる。

所持者は魔力大結晶に宿る眷属と契約を交わすことができる。



呪いのアクセサリー

1度装備すると外すことが出来ない。

取得した経験値は全て眷属に吸収される。

他の装備品をつけると眷属が嫉妬する



付与効果


火炎耐性

毒耐性

麻痺耐性

呪い耐性

水属性魔法無効化

風属性魔法無効化

土属性魔法耐性

光属性魔法耐性

闇属性魔法耐性

氷属性魔法耐性

雷属性魔法耐性

精神魔法耐性

時空魔法耐性

重力魔法耐性


魔力保有量増加(極大)

魔力保有量倍化

体力増加(小)

攻撃力減少(大)

防御力増加 (大)

俊敏性増加 (小)



付与スキル


【魔力障壁】

物理、魔法攻撃を無力化する障壁。

強度、設置可能枚数は魔力保有量に依存。



【水属性魔法吸収】【風属性魔法吸収】

水属性魔法、風属性魔法を吸収し、自身の魔力に換算する。



【水属性魔法反射】【風属性魔法反射】

受けた水属性、風属性の魔法を等倍で反射する。




【蛍の光】

対人専用広範囲精神干渉魔法

発動中、蛍の光で対象の範囲にいる人間の戦意を失わせる。

最大発動時間、1時間。



【鑑定】



【アイス】

ソーダ味のアイスを生成する

大きさは魔力量で調節できる



【ウォーター】

水が、コップに注がれた状態で生成される。

飲むとコップは消滅する。

大きさは魔力量で調節できる



〖化身強化〗未開放

〖反射障壁〗未開放

〖性能反転〗未開放

〖瞬間移動〗未開放

〖輝石化〗 未開放

〖時空魔法〗未開放



耐性で防ぎきれないような干渉を何度か受けると、耐性から無効化へグレードアップする。



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「とんでもないチート性能じゃねぇか......」

「ご主人様はお強いんです。

ですが、お強いご主人様であれ僕は全力でお守りしますし、たとえご主人様が貧弱な人間だったとしても僕が全力でお守りします。」


ホタルがなにやら頼もしいことを言ってくれているが、情報量の多さに頭がパンクしそうで言葉が右から左に流れていく。

細かい部分は、時間がある時に改めて確認するとして、ざっくり重要そうな部分を見ていくか。

効果の半分以上は理解できないが、色々と恐ろしい効果が書いてある。

このストラップって呪いのアクセサリーなんだな。

絶対に落としたくなかったし、かえってありがたかった。


耐性がえげつない。

もうとにかく生存率が高そうだ。

持ち主を絶対に死なせないという意気込みがひしひしと伝わってくる。

地味に火属性魔法の耐性がついてないのが、妙に現実的だな。弱点なのか?


防御系のスキルが使えるようになるみたいだな。

俺自身が攻撃する手段は無い。


待て、最後の2つは記述がおかしい。

アイスとウォーターって、名前からして明らかに攻撃系の魔法だろ。

いつでもお水が飲めてアイス(ソーダ味)を食べられますって、随分と生活に便利な魔法じゃねえか。

人は食事を取らなくても水さえ飲めれば1週間は生きられるっていうけど、そういうことなのか?

つくづく生存することに特化したような性能だな。

俺は早くカナタのいる天界に行きたいんだが、カナタの形見にここまでされてしまうと、簡単には死ねなくなるな。



防御に特価した装備品を身につけて、攻撃は装備品に付属でついていた美少女を戦わせてさらに俺は守られる。



とんでもなく過保護で、男としては少し情けない恩恵だった。



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