第4話 「特殊な授業2」


グサグサ刺さる視線をまる無視し、さらに説明していく。


『じゃあ、話の続きをしていくけど人物への性対象倒錯せいたいしょうとうさくからね。

これは人への対象に変わりはないんだけど、四肢欠損性愛アクロトモフィリア身体欠損性愛アポテムノフィリアを例であげるとしようか。


アクロの方は四肢が欠損した身体に対して性的嗜好せいてきしこうがあるもの、アポテムは四肢を破壊しようとする行為に対して性的嗜好があるもののこと。


年齢関係なく人の身体への執着を持つ人達がこれにあたると思ってくれればいいよ。


二つ目は年齢に対する物で、これは身近にいるから想像しやすいんじゃないかな?


小児性愛ペドフィリアって言葉は聞いたことあるよね?

これがそれに当てはまるんだけど、これは子供であれば誰でもいいってわけじゃない。


約11〜13歳頃の少年少女への性的嗜好を持つ人のこと』


そこまで話すと、姫乃がずいっと顔を寄せてきた。やめて。


「ペドフィリアはよく聞く言葉です。父がそうですもの。でも、年齢別にあるというのなら他にもあるのですよね?」


さらに近くに寄せてきた顔を避けるため、紙を手元に寄せて書き込む。


『簡単に書くとこんな感じで…』


幼児性愛インファントフィリア

  ↖︎0〜3歳頃の乳児、幼児への性的嗜好。


児童性愛ニンフォフィリア

  ↖︎4〜11歳頃の女子児童への性的嗜好。


小児性愛ペドフィリア

  ↖︎11〜13歳頃の少年や少女への性的嗜好。


青年性愛エフェボフィリア

  ↖︎成人男性による思春期の青年への性的嗜好。


年齢差性愛クロノフィリア

  ↖︎極端な年齢差への性的嗜好で性別は関係なし。


・少年性愛これは二種類

 1、ペデラスティ

     ↖︎成人男性による思春期より低年齢の少年への性的嗜好。

 2、へべフィリア

     ↖︎成人女性による青年や少年への性的嗜好。


老人性愛ジェロントフィリア

  ↖︎老人や高齢者への性的嗜好で性別は関係なし。


一通り書いてその紙を姫乃に渡す。

興味深そうに読んでいき、読み終わると


「私の知らないことがたくさん知れて嬉しいです」


頬をうっすら染め、うっとりとした表情で見つめてくる。

心臓が「ヤメテ(゚∀゚)」と一人呟くがその気持ちを汲み取れるものはいない。悲劇だ。


「この他には何があるんですか?」

『えっと…物体への倒錯とうさくと状況への倒錯かな』

「それも書いていただけます?」


さらに距離を縮めて渡してくるものを受け取り手早く書いて渡していく。


・物体への性的倒錯・

 ・偶像性愛アガルマトフィリア

    ↖︎人形や彫刻への性的嗜好

 ・汚損性対象ミソフィリア

    ↖︎着用して汚れた衣服や下着、使用済み生理用品への性的嗜好



・状況への性対象倒錯・

 ・擬似盲目性愛アムロフィリア

    ↖︎目隠しなどの擬似的な盲目状態への性的嗜好

 ・疼痛性愛アルゴラグニア

    ↖︎疼痛に遭遇するような悪条件環境や残虐な行為に遭遇する状況への性的嗜好

 ・強姦性愛バイストフィリア

   ↖︎強姦や暴力行為への性的嗜好


渡された紙を読み終えしばらくは質問攻めになった。


まぁ、受け答えしてればいいだけなので楽でいいのだが。



あれから1時間ほどたっただろうか、質問が一区切りついたところで時間を見るともう18時付近。

そのタイミングでペド野郎から地獄の提案。


「いやはや、もうこんな時間になってしまってますのでどうでしょう?この後、娘と食事でも行ってやってはもらえませんか?」


今日のお礼ですと6つの札束と共に降りてくる言葉。

足元の影にポトポト札束を落として収納していく。

数百万を無造作に床に落としてるように見えた姫乃は驚いたように下を見ていたが、影の中にしまわれてるので見つからず、そこで異能を使っていたということに気づいたようで一人ご機嫌だ。

このまま帰るか姫乃とご飯食べるか迷い、ペドにそっと声をかける。


『娘さん私の性別ご存じで?』


そう言うとハッとしたように娘に何かを告げたが、姫乃を見ると嬉しそうに顔を綻ばせてた。

どうやら性別は関係ないようだ。解せぬ。


「もし百鬼なきり様さえよろしければ食事の後もお付き合いいただけませんか?」


一体どこへ付き合えというのだろうか…


ちらっとペドに視線を向けると


「最近行きつけの店を見つけたようでして、そこの一人をたいそう気に入っているんですがなかなかチャンスが巡ってこないようなんです」


含みのある言い方にこいつの趣味から察すると姫乃にもその趣味が引き継がれてるんだろう。

なんとなく状況は理解した。追加の報酬もあるっぽい。


『途中、別の予定が入ったり不測の事態で消える可能性を理解していただけるのなら』

「もちろんです!」


OKしてもらえて余程嬉しいのか、カバンを持ち玄関へサッと足を進めていった。

その後ろ姿にため息が出る。


「娘をよろしくお願いします」


その言葉と共に渡された紙袋。中身は追加の札束。

これから行くであろうホストへの金額と見た。多額のお小遣いだ。


「お父様、行ってきます」


元気な姫乃の挨拶と共に二人で外へ向かう。

エレベーター内でも姫乃は止まらない。


「食事の前に、まずは二人で今日の服を買いに行きましょう!装飾品も見たいですね、よろしければ百鬼様に似合いそうな物を全て揃えたいのです」


…もうどうにでもなれ


タダでいろいろ手に入るしいいかと、許容範囲内であれば好きにさせることにした。



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