流石の俺でも引くわ、誰だよこの機能つくった奴

 まあ人間とは脆いものだなあと無常観に浸っているが、さすがに放っておけないよな。


 疫病の発生とか獣が近寄ってきても困る。大体村を作るゲームでも猛威を振るうのは疫病だしな。

この状況をなんとかしないと。


 俺は小声で自分の体にそんな都合の無い機能が無いか探してみる。

(死体をつかってクラフトするアイテムとかなんかないの?)


 俺の前に緑色の蛍光色の立体映像でクラフトメニューが開いた。お、あるのか?自分で言っといてなんだがさすがの俺でも引くぞ?


・クラフトメニュー


 バイオエタノール25L 遺体×1

 MPK肥料       遺体×1

 有機接着剤 人骨×1

 ……


 まー、出るわ出るわ、ざっと見て300種類くらいの品目が並んだ。


 なんだろうなぁ……この機械の体が作られた時代、どんだけ人の命が軽かったんだろうなあ……

 やりたくないけど、でもさぁ、これ品目の中に抗生物質とかもあるんだよね……

 

 あれだけの乱痴気騒ぎがあったんだ。大怪我してる人もいるだろうし、ここは腹を決めてやるしかないんじゃないのか?


 俺はクラフトメニューからアドバンスド作成というのを選んで、最先端医薬品というのを作成する。必要なのは遺体×2か。


 そこら辺の死体をひょいととると投入口に頭から入れる、これはとてもミリアに見せられないな。


<<ギョチョグチョバキバキボチモリィ>>

 

 きっしょ!?


 うわーぉ、もうやってることが邪神っすよ、コレ。うっわ、汁がすごいんだけど。

 3日目の豚肉のパックでもここまでドリップでないわ。えっぐいなぁ。


 あれ?UIに認識フィルターの使用を推奨とか出てる。おしてみよっと。


 うぉっまぶし!?


 どうやら認識フィルターと言うのを使うと、投入部でやっていることが見えないようにめちゃくちゃ強いライトが点灯するみたいだ。


 おまけにトイレの脱糞の音をかき消すやつみたいにちょっと荘厳な音楽が流れる。おお、これなら人前で……できるかぁ?!


 なんかこう、聖なる行いだからとか理由を付けて人前から離れたところでやらないと無理だわこれ。

 この世界の価値観がどうなってるかはわからんけど、さすがに死体から作った薬でワァ嬉しいとはならんやろ。どんな蛮族や。


 しかしこんなに死体をかき集めてたら流石に時間がかかるしいつかはバレる。ここは意を決して神様ロールプレイをするべきだろう。

 多少無茶苦茶な説明でも、こんな焼き討ちの後で混乱していれば、そんなものかと思ってもらえるだろ。


俺はミリアを呼び寄せてクラフトを説明して、死体を集めさせることにした。


「ミリアよ……、わが眷属よ。聞くが良い」


「は、はいっなんでしょう!機人さま!」


「これを……怪我をしたものに使うがよい」


 俺が渡したのはちっちゃな針の付いたアンプルだ。刺してちゅっとすると、ずいぶん前になくなった手足を生やすのは無理だが、最近千切れた奴なら治せるらしい。


 2体の死体でシャーペンくらいの大きさしかないコレが何故できるのは不明だが、とにかくできたんだから仕方がない。


「これはエリクサーだ。重傷を負った者でも息を吹き返す。」


「そ、そそそそんなエリクサーなんて貴重な物を!?」

「機人さま!ありがとうございます!」


 ほう、この世界にもエリクサーとかいうチート治療薬の概念はあるらしい。説明が省けてよかった。


 あとは死体を集めさせる理由づけだけど、うーん昔やったゲームのうろ覚えの世界設定を使うかぁ?


「私は死をつかさどる。そのエリクサーは、死者のエッセンスを、生者の為に集めて結晶化させたものだ。」


「そ、それでは……死者の魂が生者に宿ってしまうのでは!?」


 む、するどいな、えーっと、どうしよう?もうちょっと設定生やすか。


「心配するな。その罪を犯した死者の魂はこの光で既に浄化されている……」

「私は、地に還り、また命となって芽吹く循環を速めたにすぎん。」


「なるほど、どうせ豚野郎は肥料にして、お野菜にするんですから、同じことですね」

「機人様を疑ってしまった事をお許しください、罰は何なりとお受けいたします」


 ん?ミリアちゃんなんかすげえこと言わなかった?聞き違いかな?


「よろしい……ならばミリアよ、我の前に遺骸を集めよ。彼らの魂は、せめてエリクサーとして役立ってもらう。」


「はい、よろこんで!」


 パァっと顔を輝かせたミリアは、そのあとバケツ頭たちの手足の千切れた死体や、首の取れた死体をなんかを集め出すのだが、この光景についてあまり細かい描写はしないようにしておく。


 いくら何でもこの世界ちょっとエグすぎやしませんかね?

 あ、バケツ頭を蹴って運ばないで、泥ついちゃう。

 

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