遠足準備⑥

なぜか委員長の方から積極的に篠原さんに話しかけて来てくれたこともあって計画は予定通りに進んでいるはずだ……たぶん。


「そういえば皆さんはどのような人のことが好みですか?」


「え、え〜と」


会話の内容がかなりぶっ飛んでいること以外は概ね順調なので夏樹が来るまで耐えるしかない。


「お、俺は優しい人かな?優里はどう思う?」


「ぼ、僕ですか‼︎僕は……えーっと、うーんと……僕も金木君と同じ優しい人だと思います」


「……」


(そんな質問するから篠原さん、黙っちゃったじゃないか‼︎)


委員長がこのような質問をする意図がわからず困っていると、委員長は次の質問をしてきた。


「そうなのですね。それでは……」


(頼む、夏樹。今日ぐらいは早く来てくれ‼︎)



「おっはよ〜」


そんな願いは届かず、夏樹はいつも通りの時間に登校してきた。

それまで僕と優里は、委員長の性癖を聞いてくるような質問に耐え続けていた。

ちなみに篠原さんは困惑してずっと固まってた。


(ようやく終わった……長かった。てか、今日の委員長どうしたんだろ。会話ってゆうか、ほとんど質問と回答みたいな感じになってるし、しかもその内容の偏りが激しすぎるし)


いつも話の聞き役に回ることが多い委員長が今回は積極的に話題(?)を振ってくることとその内容に違和感を感じつつも、委員長の有無も言わせぬ感じが怖すぎてなぜこんなことになったのか聞くことができなかった。


(よし。このことを考えるのはやめよう)


俺はこのことについて考えるのを諦め、頭を計画の進行の方にシフトさせた。


−−−−−−−−−−−−


(夏樹視点)


(げ!)


教室に入った瞬間、私は不快な気持ちになった。

私といつも話す人がみんな、篠原さんの周りにいた。


(あの人、感じ悪いし何考えてるかわからないから好きじゃないんだよね〜)


それでも朝の時間を1人で過ごすのも味気なく、まだ終わってない数学の問題のやり方を教わらないといけないため、嫌な気持ちを押し殺しながらみんながいる篠原さんの席に近づいていった。


「おっはよ〜」


みんな(篠原さんを除く)も挨拶を返してくれた。

そして私はコウくんに抱きつきながら1番気になっていることを聞いた。


「なんでみんな篠原さんの席いるの?」


「元々は俺と優里が篠原さんに数学の問題を教わってたんだよ。そして、それが終わってなんとなく喋ってる時に委員長も来たって感じ」


「へー、意外」


コウくんが数学の問題がわからなかったことも意外だが、そんなことよりも1番驚いたのはあの篠原さんが教えていたと言うことだった。


「どうせお前はまだ終わってないんだろ?篠原さんに教えてもらえ」


「あと金木くんに抱きつくのはやめましょう。嫌がっていますよ」


本当だったらコウくんに教えて欲しいところだが、篠原さんがどんな教え方をするかも気になるし、コウくんの言うとおりにすることにした。


「じゃ、お願いしていい?」


「(コクコク)」

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