第2話 天国か地獄か!?龍星軍のバカンス!!~前編~ (2)
「わ、わからないだ??」
「はい、まったく。なんの話ですか、瑞希お兄ちゃん?」
「おいおい、瑞希お兄ちゃんよ~凛たんに話してないのかよー?」
ギョッとする瑞希お兄ちゃんと、茶化しながら呆れる烈司さん。
「馬鹿!俺は凛にちゃんと話して~・・・・凛、忘れたのか?旅行の話?」
「旅行?」
それで思い出す。
好きな人に言われた言葉を。
「夏休みに、お泊りで遊びに行くお話ですか!!?」
自分でも、アゴが外れるんじゃないかというぐらい大口で叫ぶ。
「そう、それそれ!」
そんな私に、瑞希お兄ちゃんは体ごとこちらへと向きなおしながら言った。
「風呂に入った時と、幡随院に会いに行く前にも話してただろう~?」
「あん?なによ、オメーら?そんな前から計画して、話し合いしてたのか?」
「い、いえ!?そんな、そこまで深いことは~」
言われて瑞希お兄ちゃんの裸・・・いえいえ!!
瑞希お兄ちゃんとの会話を思い出す。
「夏だから、海に遊びにでも行こうという話をしただけで~」
「海にでもじゃなくて、海がいいなって言ったんだよ!たく・・・あいまいな言い方しやがってー・・・・!俺とは出かけたくねぇーのかよ?」
「はああ!?そんなわけないでしょう!?行きたい!行きたいでーす!お連れくださーい!」
「おわっ!?」
口をとがらせながら言う相手に、ガバッと抱き付きながらお願いする。
「お願いします!僕、瑞希お兄ちゃんと遊びに行きたいです!!お願いですから、連れて行って下さーい!!」
「ま、まて、落ち着け、凛!」
「おいコラ!暴れるな、あぶねぇー!!」
運転席と助手席の間に体を押し込めてお願いする。
〔★実際は暴れている★〕
「おい、凛!やめ、ちょっと、離れ~」
「連れてってくださるまで、離れませーん!」
私のお願いの声に合わせて、左右に激しく揺れる車。
「わわ!烈司!前見ろ、前!」
「馬鹿野郎!だったら、押すな瑞・・・!げ!?対向車!?」
パパパパパ―――――――!!
「「ぎゃああああああああ!?」」
「行きたくないなんて言ってませんよぉー!」
キキー!!
私の訴えに合わせ、車が急停止する。
〔★危機一髪だ★〕
「「おっ・・・わああああああ・・・・・・・・!?」」
「うっ、うっ、行きたくないなんて言ってないよぉ~」
ギューと瑞希お兄ちゃんにしがみつきながら伝える。
「覚えてなかったのは謝りますぅ~だから、連れて行ってくださーい・・・・!」
「つーか・・・・事故りかけたことに対して謝れや・・・!」
「凛たんのおかげで、あの世に連れてかけるところだったぜ・・・」
うるむ目で訴えれば、ゼーハーと肩で息をしながら私を見るお兄さん2人。
「あぶねぇだろう、凛!運転中に抱き付くなっ!」
「運転してたのは俺だけどな?あ~・・・・ちょっと休憩~」
コラッと怒る瑞希お兄ちゃんと、タバコを口にくわえて火をつける烈司さん。
(どうしよう・・・2人共、そんなに怒ってるの・・・!?)
私が旅行を忘れていたことを・・・・?
〔★凛が思う理由と、瑞希達の怒っている理由は違う★〕
「凛!」
「は、はい!ごめんなさい!」
瑞希お兄ちゃんのこぶしがふり上げられる。
(叩くの・・・・・?)
そんな思いで、瞳をうるませる。
好きな人を見つめる。
これに瑞希お兄ちゃんは―――――――――
「っ~~~~~~~こんちくしょうがぁ――――――――――!!」
バコ―ン!!
「あだぁー!?」
烈司さんを殴った。
「・・・え・・・?」
(烈司さんを叩いた・・・・?)
それで、くわえていた煙草が灰皿の中へとホールインワンする烈司さん。
「い・・・・いってぇ!?瑞希!?なにしやがる!?」
「うるせぇうるせぇ!ポチやタマみたいに可愛い凛を叩けるか!?」
「俺は良いのかよ!?」
〔★瑞希は凛を叩けなかった★〕
「そもそも、オメーの運転が悪いんだボケ!」
「この凛たんびいきがぁ~!?俺でもそうするけどさ!それはいいが、人のせいにすんな!八つ当たりするな、ボケ!」
「うるせぇよ、ニコチン中毒者!吐く息がくせーっての!」
「なんだとぉ!?」
「なんだよぉ!?」
(またはじまった・・・・)
瑞希お兄ちゃんと烈司さんは仲が良い。
仲がいいんだけど、ときどき、ケンカをするほど仲がいい時がある。
「やめてください、お二人とも!」
最近わかったことだけど、こういった軽いもめごとをよくするのだ。
「争う原因がよくわかりませんが、喧嘩はしないでください!」
「わ・・・・わかりませんってお前なぁ~!?」
「・・・凛たんの天然にゃかなわねぇよ・・・!」
2人の間に入って・・・というか、シートとシートの間に挟まったままで言えば、はあーと大きなため息をつく瑞希お兄ちゃんと烈司さん。
それが気になったけど、ケンカをやめてくれたのでよしとした。
〔★気になる凛が原因だ★〕
「じゃあ、もうやめてくれますね!?」
「はあぁあ~~~・・・・!この愚弟だけは~」
「ぷっ!そう言うなよ、瑞希~」
争いをやめた2人が、私の頭をなでながら言う。
「たくっ!天然無自覚すぎるっての!ヒヨコはいいが、鶏みたいになるなよ!?」
「え?ヒヨコが大きくなったのが鶏じゃ・・・??」
「ははは!瑞希が言いたいのは、三歩歩くとすぐ忘れちまうような性格になるなってんだよ、凛たん。」
「そういえば、そういうことわざが―――――――――って!?それだと僕がヒヨコじゃないですか!?」
「ヒヨコじゃんか、ばぁーか。」
「うっ!!?」
そう言って、意地の悪い顔で私を見る目が色っぽい。
「い、いじわる!」
セクシーな顔をされ、ドキドキする私が言い返せる精いっぱいの言葉。
〔★表現ともいえる★〕
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