第4話 Gランクの依頼は薬草採取と街の清掃・・・
朝早く起きたラッキーは食事を終えて、ギルドに向かった。
「よし。とりあえずギルドで依頼を受けよう。お金を稼がない事にはどうにもならないもんな。飢え死にだけはごめんだ。」
公爵家から追放されたラッキーは、ある程度のお金をもらっていたが、1カ月程宿で生活すればなくなる程のお金だった。
「まあ追放されたのはしょうがない。むかついたし人生どん底かよ!とも思ったけど自由になれた点はよかったかも。ギルドで大金を稼いで自由に世界を旅して、色んな女性と・・・」
普通に考えると、家から追放された人間がこんな短期間で前向きに生きていけるはずがない。普通は絶望で何も手がつかなかったり、撤回を求めて父親に食い下がったり、友人を頼って助けてもらったりするだろう。だが、ラッキーはその辺りの感覚が普通の人とは違っていた。
何事も前向きに考えるラッキーの性格は、起こった事はしょうがない。次どうするか考えよう。と常に未来の事を考えて行動していた。もちろん自分に都合の良い妄想を多く含んではいるが・・・
明るく前向きに生きるラッキーだからこそ、今回の【ゼンパン】というこの世界で最も優れている素質を授かったのだろう。
ギルドに着いたラッキーは早速張り出されている依頼を確認した。
「たしか昨日の説明では、ここに貼ってる依頼を取って受付に持って行くんだったよな・・・。それにしても今日は人が多いな・・・。冒険者って人気なんだな。」
朝早くにギルドに来たので、ギルド内は大勢の冒険者が集まっていた。
朝から酒場で酒を飲む冒険者。
パーティで依頼を物色する冒険者。
受付嬢を口説いている冒険者。
マッチョな男性からスレンダーな女性。獣人にエルフなど性別・種族問わず多くの冒険者がギルドにいた。
「みんな強そうだな・・・。俺も頑張らないと!」
ラッキーは冒険者達を一通り眺めた後、自分のランクであるGランクの依頼を探した。
「Gランクだとあるのは薬草採取と街の清掃か。報酬が高いのは薬草採取だし、ここは薬草採取一択だな。」
ラッキーは薬草採取の依頼書を取って、受付に持って行く。持って行く先は昨日、登録業務をしてくれたナンシーの所だ。
「ナンシーさん。この依頼を受けたいんですけど受理してもらえますか?」
「ラッキーさん。昨日登録して早速依頼ですね。はい。薬草採取の依頼ですね。わかりました。頑張ってください。薬草はリスボンの街を出て、東の草原か草原を抜けた森の中にあります。」
「草原よりも森の方が薬草がありそうですが、その辺はどうなんですか?」
「そうね。ラッキーさんの言う通り、森の方が薬草は多くあると思います。ですが、森はゴブリンやウルフ、スライムなんかの魔物に遭遇しやすいんです。魔物の討伐はFランクからの推奨になっています。」
「なるほど。草原はその分魔物が出ないんですか?」
「出ないという訳ではないですが、草原は見晴らしも良いので魔物が近づいてくるとすぐにわかるので、魔物を避けながらの薬草採取が可能なんです。」
「わかりました。じゃあ今日は草原で薬草採取をしようと思います。」
「はい。始めはそれが良いと思います。あっ!後、ラッキーさんは武器も防具も持ってませんよね。どこで何があるかわからないので武器と防具は準備した方が良いですね。初心者用の武器と防具を取り扱ってる店がギルドの隣にあるのでよかったら見て行って下さい。」
「ありがとうございます。依頼に行く前に寄って見ます。」
ラッキーは薬草採取の依頼を受けてギルドを出た。
「武器と防具か・・・魔物に出会ったらまずいから買っとくべきだよな~。でも・・・金がそんなにないんだよな~・・・父さんももっとお金くれればよかったのに・・・」
ラッキーはそんな事をつぶやきながら、ギルドの隣の店に入っていった。
「いらっしゃい。ここは初心者用の武器と防具を扱う店だよ。」
「はい。昨日登録したばかりのラッキーと言います。薬草採取の依頼を受けたんですが魔物に遭遇するかもしれないので、念の為、武器と防具を見に来ました。」
「昨日、登録したばかりか・・・。ならこれなんかはどうだ?」
店主が見せてくれたのは鉄の剣と皮の鎧とショートナイフだった。
「そうですね。あまりお金がないので、どうしようか迷っていますが、剣は子供の頃から振っていたので使えると思います。」
「冒険者は何があるかわからないからな。買えるなら買っておいた方がいいぞ。武器と防具をけちって死んじまったら元も子もねぇからな。」
「たしかにそうですね。」
「初心者が金を持ってないのはこっちもわかってるからよ。だが、魔物を倒す剣と身を守る鎧、それに素材をはぎ取るナイフは必需品だ。よかったら後払いもできるぞ?」
「本当ですか!?」
「ああ。ギルドに登録してるなら1カ月後の後払いも可能だ。まあ初心者特典ってヤツだな。」
「買います。後払いで買います!」
ラッキーは即決した。
「毎度あり!。じゃあ早速装備していくか?」
「はい。お願いします。」
ラッキーは鉄の剣と皮の鎧、ショートナイフを装備して街を出るのだった。
「あっ!!そういえば今日はまだガチャスキル使ってなかったな。」
ラッキーは草原に着いてから、ガチャスキルを使用した。いつもと同じ白い光が現れて出て来たのは・・・・いつものパンだった。
「は~・・・アンパンか・・・。まあこれもいつも通りだな。昼ごはんに取っておこう。」
いつもと変わらぬガチャの結果に落胆したが、すぐに気持ちを切り替えて薬草採取に臨むラッキーだった。
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