ACT.11 菊池鯛乃

 あらすじ

 第2戦はファミリアGT-Rに乗る森本ひさ子とSA22C型RX-7に乗る副会長の山中ルリ子が戦った。

 <七難八苦>を発動させたルリ子はひさ子を後半で追い抜き、そのまま引き離して勝利した。

 これで1対1、残るは部長と会長の対決だけとなった。



 加藤虎美(Z16A)


 vs



 菊池鯛乃(KPGC110)



 コース:箱石峠往路



 トップ同士の戦いが始まろうとする時、誰かがスターターをするのか決める。

 今までは会長が務めてきた。



「誰がスタートの合図を努めると?」



「誰やろう……」



「私が努めます!」



「飯田さん!?」



 飯田ちゃんが手を上げた。

 スターターを努める彼女は2台の前へ出る。



 カウントを数え始めるのを待つGTOとケンメリは、吼えるかのようにエンジン音を響かせる!



「カウント行きまーす! 10秒前!」



 2台はスタートを吼えながら待つ。



「5、4、3、2、1、GO!!」



 2台は勢いよく飛び出す。

 加速は互角だ。



「さすがアテーサET-SにVK45とスーパーチャージャーで武装したケンメリね。460馬力ある虎美のGTOと肩を並べているわ」



「虎ちゃん、負けんといて。負けたら終わりたい」



 車重は1400kgのGTOより1150kgのケンメリの方が軽かったものの、前者の方が前に出た。



「虎美が前に出たわ!」



「ばってん……ヤバかこつが起きそうばい」


 バトルは後攻の方が有利。

 部員2人の顔は不安を過るものだった。

 2台はハイスピードでV6とV8のサウンドを流しながら、4人の前を去っていく。



「あんGTOは会長に斬られる覚悟できとる?」



「ルリ子、斬られると思とるばい!」



 左高速コーナーを抜け、ロングストレートを駆け抜ける。

 車重の軽いケンメリが接近する。

 人面岩前の3連続S字に入る。

 そこではGTOが引き離した。



 短い直線を通ってS字からの右ヘアピン。

 サイドブレーキを引き、ここで方向とは逆に進むドリフト、フェイントモーションを発生させる。



「これでも食らえ! フェイントモーション!」



 後ろのケンメリも続いてドリフトをする。

 生徒会長はGTOの動きを見る。



「あんGTOのトルク配分はフロントが20、リアが80か。ドリフト重視にセッティングされとる」



 GTOのトルク配分をリア寄りにすることでFR並みの旋回性能を得ている。

 通常よりドリフトすることがたやすいものになっている。

 

 

 直線を駆け抜ける。

 ケンメリが接近してくる。

 左高速コーナーを2台ともグリップ走行で通過し、右中速コーナーはドリフトで通過する。

 セッティングの影響か、うちは生徒会長を曲線で引き離している。



「やるのう。中々のコーナリングたい」



 生徒会長はうちのドリフトを認めたようだ。

 だが、油断はできない。

 彼女は仕掛けてくるかもしれない。



 S字を抜け、左ヘアピンをドリフトを通過する。

 さらに来る2つのS字をグリップを抜け、後に来る2連ヘアピンをドリフトで抜け、シケインはグリップ走行で通過する。



 グリップ走行を使った所では離せなかったものの、ドリフト走行を使った所では離せなかった



「やるのう。ばってん、今ん私の走りは切れ味ば押さえとる」


 

 生徒会長の力がもうすぐ発揮されるかもしれない……。

 うちの警戒は強くなる。

 後半で下手すれば……。



 9連続コーナーに入る。

 全てをドリフトで抜けていき、トルク配分を後輪に寄せたコーナリングでケンメリを引き離していく。



 距離はクルマ1.5台分だ。

 ここを抜けると直線に入り、相手が距離を縮めてくる。



「中々ん走りばってん、ここから本当の切れ味ば見せたる! 私の剣ば見てみぃ!」



 スタート地点。

 1台のAE101が来て、ドライバーが降りてくる。

 かなさんだ



「見守り来たけど、バトル中か。現在の戦績は?」



「五分五分です」



「あと1回で運命が決まるな」



 かなさんは5日前の特訓について思い出す。

 虎美にしたことを言う。



「トラミンには特にアドバイスをしていない。あんたら2人に比べると大した問題点が思いつかないと感じたからだ。ドリフトが得意だから、全てのコーナーをそれで抜けろって言ったのかな?」



「それだけで大丈夫ですか?」



「たくさんやったから大丈夫だろうか?」



 この練習は私と交互にした。

 それだけすれば生徒会長に勝てるのだろうか?

 先行した虎美だが、今は抜かれてないだろうか?



 私には良くない予感がした



TheNextLap

 

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