おっさん

 堪忍、堪忍、かんにんですえ。

 ちょっと前まで足をゴリゴリしてましてん。

 ほんで、そのままウトウトしてしまいましてん。

 あのイボイボがようけついた筒。

 そのイボイボの痕がしっかりと足についてもうて。

 蛇の鱗に見えましたんや。

 ほんま、すまんこってす。

 いろいろお騒がせしたからランチ行きまひょ♪

 もちろん奢りますがな。

えっ、化粧でっか?

 マスクで隠れるし、せんでもええんとちゃいますか?

 せめて口紅くらいってか。

 どうせご飯食べているうちに取れてまいよる。

 ご飯食べに行くのにいらんやろ。

 そやから、いるってか。

 誰ぞに会うたらどないするって。

 どないも、こないも、あらしまへんわな。

 こんにちは~って挨拶したらよろし。

 そやけど最近おっさん化、激しなってへんかって。

 Hな作品もバンバン読んで恥ずかしないんかって。

 別に、ちいとも恥ずかしくも何ともあらへん。

 作品は作品やろ。

 そやけど、お宅の娘さん言ってましたでって。

 えっ、何て言うとったん?

 お父さん四国に行って留守のはずやのに、おっさんの声がするって。

 夜中にトイレに行ったら、ウチの部屋から聞こえてきたってか。

 あきまへんで、男連れ込んだらって。

 そんなアホな。


 その日の夜、おっさんの野太い声で目が醒めた。

 電気をつけたが誰もおらんかった。








 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る