第3話 初めてが恥ずかしめで初めての時ハジメマシテだった

「ひゃ※☆@#$%*&☆〒うぅッ」


 改めまして、私の名前はアリスシード。オドが暴走して気付いたらこの姿。本当ならば、クレアリスの記憶を持ってるのが可怪しいんだけど、私はクレアリスの記憶を持ったまま、気付いたの。なんでなのかしらね?


 でも、私が死んでるコトを知ったら、パパもママも悲しむのかな?親よりも先に死んでしまうなんて思ってもみなかったから、本当のコトを知ったらきっと悲しむよ……ね?

 だから、それだったらジロウが私の代わりにクレアリスをやってくれてるなら……パパもママも幸せだろうから私はそっとしておくつもり。


 まぁ、湿っぽい話しは置いといて、今日のご飯は何かしら?



-・-・-・-・-・-・-



「何コレ?本当に食べられる……の?」


「まぁ、とやかく言わずに喰えば分かる」


 俺は、新しく仲間になったアリスに、うどんを食べさせてみる事にした。だが、当のアリスは初めて見るうどんに警戒心剥き出しで、なかなか口に運ぼうとはしなかったのさ。



「なんかニョロニョロしてて、うねうねしてて気味が悪いんだけど……」


「いいから喰え」


「わ、分かったわよッ!食べればいいんでしょ食べればッ!」


ちゅる


「ッ!?」


ちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅる

ずずずずずーーーッ

ちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅる

ずずずずずずずずずずーーーッ


「ぷはぁッ!」


「いい喰いっぷりだな」


「ちょッ!何コレ?凄っごく美味しいじゃない!これが「らあめん」なの?」


「いや、うどんだ」


「うどん?ジロウは「らあめん」を作りたいんでしょ?なのに違うものを作ったの?バカなの?こんなに美味しいのが作れるなら、とっとと「らあめん」を作ればいいじゃない」


「おまッ!バカバカ言ってるヤツがバカだってことわざ知らねぇのか?」


「知らないわ。だって、私は頭いいもの」


 俺は絶句したね。アリスが自分から頭がいいって言ったからだ。それなのに、諺も知らないなんてな。笑っちまうだろ?

 それにしても……だ!頭がいいんなら、ケドだかコドだかを暴走させて死んだりしねぇモンだろ?

 その事を棚に上げて、頭がいいって言えんのかって話しだろ?諺も知らねぇし……。

 えっ?諺じゃないの?


 ま……まぁ、それが事故だって言うなら仕方ねぇとは思うが、そもそも「君子危うきに近寄らず」とか言うし、本当に頭がいいなら危ねぇ事はしないモンだよな?あれ?そしたら俺も……いやいやいや、命綱無しで断崖絶壁に向かったけどよ、アレは現地人のおっちゃんが大丈夫って言ってたからだ。セーフだよセーフ!カウントしたら駄目絶対ってヤツだ!ノーカンだ!

 それにそんなアリスが自分の事を頭いいって言うなら、俺だって言ってや……って、なんでこんな事に俺はムキになってんだろうな?



「じゃあ、その頭のいいアリスに聞きたいんだが、「かんすい」って知ってるか?それがあればラーメンが作れるが、俺には「かんすい」がなんだか分からねぇから作れねぇんだ」


「カンスイ?道が冷たい水で水浸しにでもなるの?」


「そりゃ、冠水だろ?」


「ちっちっちっ。寒水で冠水よ」


 俺の負け……だよ。なんか、「ああ言えば醤油」だっけか?そんな感じで、何を言っても勝てる気がしなかったのさ。「それってアナタの感想ですよね?」みたいな事を俺が言っても、その後に言葉でボコボコにされるのは目に見えていたから、もうこうなったら黙ってるしかねぇよな?

 でもまぁ、自称頭がいいアリスでも、かんすいが何だか分からねぇってコトが分かったコトだし、まだまだラーメン作りが遠いってコトも、よおっく理解出来たぜ。



「母さん、その「かんすい」だけど、わーは何かを溶かした水だと思うんだ。だから、母さんの記憶の中から、探ってみてもいいかな?」


「えっ?」


「なぁ、お袋……あたい、腹が減ってんだけど、あたいの分のうどんは無いの?」


「あ、悪りぃ。さっきアリスに喰わせたのは、本当はおっさんの分で持ってきたヤツだから、家に戻らねぇと材料が無ぇわ」


「そっか、それならお袋……食べていいか?」


「えっ?」


「ままを食べるの?そしたら、うちも!」


「えっ?」


「あちきもお腹空いてる」


「えっ?」


——ぱさっ


 俺としてはコレが普通の日常なんだが、アリスにとっては異常……なんだろうな?だから、言われるがままに恥ずかしげもなく服を脱ぎ出した俺を見るなり、アリスは目を白黒とさせているし、口元からは「あわわわわわ」と、なんかよく分からない言葉が漏れてた。

 それに俺の事を「食べる」といった皆も服を脱ぎ出したモンだから、尚更混乱している様子だったぜ。



 こうして、娘達4人に因って、俺は食べられる事になったワケだが、アリスはそれをただ見ていた。でもま、誰かに見られていると思うと、それはそれで気持ち良さが倍増すんのな?初めて知ったよ。

 だけど、なるべく喘ぐ声は抑え気味にしたんだが、それでも漏れ出す声は比較的大きかったかも知れねぇ。

 この状況で再び、おっさんが登場したら厄介なんだが、気持ち良いモンは気持ち良いし、抑えられねぇモンは抑えられねぇ。

 なるようになれってヤツだ。



「あわわわわわわわわわわわわわわわ……な、なな、ななな、ななななな、@#$%&*☆¥※〒ッ///」


「あっ、あぁ……んんん」


「まま、美味しい」


「ちょっと……ねぇ……なんで?私、そんな事……今までシた事なかったのに、私がその身体からいなくなった途端に、私、そんな淫らに乱れて、そんな気持ちの良さそうな声を出して……それに、私が密かに買って隠してたパンツまで……」


「ママからたくさん、溢れてくる」


「なんでよ?私の身体……そんな……えっちなんかじゃ……そりゃ、ちょっとは興味あったし、色々触ってたけど……」


じゅん


「私、なんで?なんで見てるだけなのに、お腹のナカが熱いの?なんで、私の身体が弄ばれてるのに、目が離せないの?」


「アリスちゃんも、ままみたいに、気持ち良くなっちゃえ」


「えっ?ちょ、離して!私……キャッ脱がさないで!」


ぺろッ


「ひゃ※☆@#$%*&☆〒うぅッ。ヤ、ヤメてぇ」


 まぁ、なんて言うか修羅場……みてぇな感じだったな。修羅場って言うのか正解かどうかは分からねぇけど、こうして真っ昼間から卑猥で淫靡な感じになった結果、盛り上がっちまった訳だ。



 巻き込まれたアリスは最初こそ嫌がってた訳だが、最後には目を蕩けさせて「おねだり」してたから、まんざらでもなかったのかもしれねぇ。

 まぁ、快楽ってのはクセになるって言うから、アリスの将来が心配っちゃあ心配だが、そん時はそん時だな。


 でもま、アリスに対しては名付けもしてねぇし、俺じゃなくて豚骨トンコッツを中心に気持ち良くさせられてっから、これは体液摂取とは違うよな?えっと……ただのキャッキャウフフで気持ち良くなってるだけってヤツだ。

 ——やっぱり将来心配だな。考えるな感じろを地で行くってこの事だよな?




「はぁ……はぁ……はぁ……。ね、ねぇ、なんでジロウは自分のオドを娘達に分け与えているワケ?完全に枯渇しちゃったら1日中、何も出来なくなっちゃうでしょ?」


「ハァ……はぁ……ハァ……はぁ……。お、俺はラーメンを作りたいだけだ……でも……な」


「でも?」


「ラーメン作りの材料は俺一人じゃ集められねぇ。その為に豚骨トンコッツ白湯パイタン……皆の力が必要なんだ。むしろ、皆の方が戦闘には向いてるから、俺がダンジョンに付いて行っても足手まといにしかなんねぇ」


「だから、そんな娘達にオドを分け与えてるって言いたいの?」


「そうだ」


「ってかさ、ダンジョンってどういう事?この街の周囲にダンジョンなんて無かったでしょ?わざわざ王都近くのダンジョンまで行ってるワケ?それに「らあめん」とダンジョンになんの関係があんのよ?」


「いや、この街の近くにダンジョンがあるんだ。それにラーメンを作る為の材料は、ダンジョンじゃなきゃ手に入らねぇ」


「嘘……でしょ?」


「嘘じゃないよ。ダンジョンは確かにあるよ。うち達はそこで、ままと一緒に暮らしてるんだモン!」


「えっと……うん、意味が分からないわ。ジロウ、どういう事?この部屋はクレアリスの部屋よね?なのに、ダンジョンに住んでるの?私、こう見えて王位継承権持ってる公爵プリンセス家の貴族令嬢だったわよね?それなのに、ダンジョンで暮らしてるホームレスなの?」


 まぁ、仕方ねぇ事だってのは分かる。これが数十年経ってるなら変化があっても可怪しくは無ぇから驚かねぇと思うし、アリスも受け入れられたかもしんねぇって思う。だけど、まだ一年も経ってない内に、劇的な感じでビフォーアフターかまされたら、混乱するのは当たり前っちゃ当たり前だと思うし、驚くのも無理ねぇよな。

 これって、テレビでよくあるドッキリだろ?とか勘繰りたくなるのは当然だろ?



 と、言う訳で百聞は一見に如かずって言うから、俺達はそそくさと公爵プリンセス家から退散して、ダンジョンの家に戻る事にしたのさ。

 まぁ、ここに帰って来た目的は、おっさんに取り敢えずの感謝を込めて、うどんをご馳走する事にあったんだが、材料がなきゃご馳走も何もねぇから、用が無くなった以上トンズラするのは当然だろ?

 しかし急に帰る事にした訳だから、おっさんに気付かれないように、そっとオサラバした訳さ。

 すまんな、おっさん。サラバだ、おっさん。またな、おっさん。次こそは多分ご馳走するぜ!絶対って約束は出来ねぇが、勘弁してくれ。




 こうして俺達は一路、ダンジョン内の俺達の家へと向かった訳だ。マシマシマシマッシは相変わらず公爵プリンセス家で御庭番やってくれてる。だから、俺達とアリスを含めた5人で家に向かって行ったのさ。


 でまぁ、家に向かうまでにはお決まりのモンスターがいる訳だが、俺の包丁ボーナスのお陰もあって楽々階層を降りて行く事が出来た。アリスも一応闘える様子だったから、俺としては俺一人がお守りされてた事にショックを受けてたのは確かだが、まぁそれはそれ、これはこれだ。


 結局、家に着く頃にはアリスもそれなりの装備を整える事が出来ていた。身体は小っちゃいのに装備はいっちょまえってのが、やっぱり俺的には気になるが、そもそも装備って身体のサイズが変わっても、皆は普通に着れてるから不思議なんだよな?これが本当のフリーサイズってヤツなのかねぇ?


 前に、おっさんから貰った豚骨トンコッツの胸当ては豚骨トンコッツホルスタインの成長と共に窮屈になってったけど、専用装備になってからは窮屈そうな感じは無ぇ。

 あっちこっち大っきく成長したワンタンも、子供の時にゲットした専用装備を今でもそのまま着てる。それを考えると専用装備ってのは便利だよな?買い換えなくても壊れるまで使えるって事だもんな。装備も身体の成長に合わせて成長するって事だろ?

 あぁ、俺も欲しかったぜ。




「ななな、なんでこんな立派な家があんのよッ!」


「俺がおっさんに言って建ててもらったんだ。俺だって、こんな立派なのが建つとは思ってなかったから、驚いたんだぜ?」


「まぁ、パパならやりそうよね……クレアリスには激甘デレデレだったもんね」


「で、どうする?アリスもここで暮らすのか?」


「私はクレアリスじゃないし、パパと合わす顔が無いから、お邪魔していいならお邪魔させてもらうわ。それにここまで連れて来ておきながら、一人で帰れとか言ったらそれこそバカの極み、究極バカって言ってあげるところよ」


「そうか、それなら言われないで良かったぜ。それにこの家にはたくさん部屋があるから、好きな部屋を使ってくれ一部屋以外、全部空いてるからさ」


「うん?はぁ……まぁそうよね。どうせ皆がジロウと一緒に寝てるんでしょ?とんこっつも、ぱいたんも、わんたんも、部屋欲しがらなかったんでしょ?」


「流石だな、アリス。で、お前は部屋欲しいんだろ?」


「わ、私は……私はジロウの家族じゃないし居候いそうろうなんだから、い、一緒の部屋でいいわ」


「へぁっ?いやいや、おいおい。居候なのに一緒の部屋でいいって可怪しくないか?」


「す、好きな部屋を使っていいって言ったのはジロウでしょ?だから、私も皆と一緒の部屋を好きに使わせてもらうわ」


 俺としては、なんでこうなったのかよく分からなかった。居候が家主と一緒の部屋で暮らすって、どうなったらそうなるのか理解出来る訳が無ぇんだが、これって当然の事なのか?

 ワンルームシェアってヤツだろ?ヤベぇ感じしかしないだろ……。流石に俺だって若い時に、彼女とワンルームで同棲した事なんてねぇよ……ってか、アリスは幼女であって彼女ですらねぇ。

 幼女である以上、俺に幼女趣味は無ぇとしか言えねぇ。


 でもま、アリスは小っちゃいから、一人だと心細いんだろう……と考える事にした。幸いにもこの家の造りは頑丈だから、モンスターに襲われる心配は無ぇ筈だ。

 それが分かればアリスも勝手にどこかの部屋を占拠して、居候するだろうと俺は考える事にしたのさ。

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