訓練期間をまともに描写して楽しいのは某ドラゴ・・・・・・ボールだけ

 訓練と上級教育を三年うけて、キリッとしました、キリッと。


 ポチは馬じゃないので特殊な訓練になったけど、大型種の集団行動や、人に対してやっていい事や悪いことなどを覚えたよ。

 大豆と小豆はとても大きくなって一端のオオカミって感じに。賢さも増加したかな。可愛さもましたかな。モフるのは凄く大変になった。本当大きい。

 ぽちは大きさはさほど変化無いけど良質な餌を食べ続けたから体のキレが違うね。筋肉全部生まれ変わりましたって感じ?

 みんな毛の艶や毛並みがとても良くなって、見た目は凄く綺麗になった。

 街で噂のオオカミ部隊とは私たちのことよ。通称はなんだったっけかな。


 みんなで狩りをすることもあって、大豆と小豆は追いかけ役、私とぽちで仕留める役を担ってる。みんなオオカミなので体力いっぱい元気いっぱい!

 私は無限流にヒゲソリ流が組み合わさって無限髭剃流を開派。

 無のごとく動き無限にヒゲソリ刀のような鋭い攻撃をし続ける。そんな感じ。


「ぽち、おて」

「わん」


 ぽちの前におもむろに立ち止まり、お手の命令をする。

 スッと右足を差し出すぽち。


「もふもふ。次、おかわり」

「わふ」


 スッと差し出される左足。もふもふ。


「くるっと回る」

「わんっ」


 くるっとその場で一回転するぽち。うむうむ。


「伏せ」

「わふぅ」


 しっかりと、私がその巨体に乗れるように深く深く伏せをするぽち。偉いぞ。


 首の付け根ちょっと後ろくらいにつけた鞍にまたがり、


「立て!」

「わん!」


 スッと立ち上がるぽち。視界が一気に高くなる。何年経っても興奮するね。


「徐行!」

「わん!」


 のろのろ……ではなく、しっとりと足を地面につけて足音を立てずに移動するぽち。


「歩行」

「早足」

駆足かけあし

「ちょっパや」


「わんわん!」


 命令に合わせて速度を変えるぽち。

 馬の四走法に合わせて私たち独自の速さの目安も作った。

 馬じゃ無いんで、ここは完全に合わせることはできないからね。


「ジャンプ!」

「ワーン!」


 ぴょーんと二〇メートルくらい高く飛んでしっとりと着地。


 ぽちから降りて一礼。


「以上、最中とぽちの騎乗行動訓練でした!」


「わーわーすごーい!」

「いぬなのにすげーな!」

「私もモナカ様みたいにヒゲソリ騎兵隊に入りたいわ!」


 コロッセオの観客席から歓声が上がる。

 そう、今日は公開訓練日なのだ。

 私はまだまだ訓練生なので最初の方。

 この後ベテラン勢が続いて、最後はヒゲソリ騎兵隊最精鋭、『親衛隊【カミソリ】』が務める。


 カミソリにはわずか五名しか在籍していないのに、武勲がとんでもない。

 他の街を襲っていたエンシェントドラゴンを撃破してきたり、大攻勢にあっていたとあるお城の包囲網をたった一度、五名の突撃で瓦解させたり。

 一人と一頭で一つの軍隊並みの武力があると言われるほどの強さを誇るのだ。


 コロッセオでは親衛隊カミソリの凄さが発揮できないので、続々と草原へ繰り出していく観客席の皆様。私はここでお留守番だね。どれくらい凄いのか見たかったけど残念。


 ただ一頭だけ、カミソリが乗っている馬をお世話する機会があって、その凄さの片鱗は見た。

 ぽちのように非常に大きいし、ぽち以上に力がある。足は6本足だから馬とレアモンスターを掛け合わせていると思う。お休みタイムなのに目には力が宿っていて。額から角が一本生えていた。

 プライド高いとか、そういうわけじゃ無かったけれど、お世話するのは緊張したよ。色は深い赤色を貰った。どんな属性なんだろう。


 一日せわしなく働いた所で、スゴク・ヒゲソリ男爵達との夕食会。

 ワインを何本もラッパ飲みし夕食会を大いに沸かせた私最中、スゴク・ヒゲソリ閣下から呼び出されました。なんだ、飲み過ぎてクビとかか? ビクビク。


「いやラッパ飲みの最中にすまないな。モナカがここに来て何年になる?」

「いえ、お気になさらず! 三年になりますね」

「そうか。そろそろ武者修行の旅に出る時が来たな」

「武者修行……ですか」


 ヒゲソリ閣下は顎を手でこすった後、


「そう、武者修行。ヒゲソリ騎兵隊は基礎訓練が終わったら各国を回って武勲と名声を高め、一人で対応するすべを学んでいくのだ。その段階に、モナカ、お前は来ている。今日の訓練素晴らしかったぞ」


 つまりは風来の騎士となって世直しをしながら力をつける、ということらしい。

 しっかりと支援は出るらしく、ヒゲソリ騎兵隊の名前と勲章を見せれば大抵は融通が利くようだ。食う寝るに困ることは、人の住んでいる地域なら大丈夫そうだね。


「わかりました。このモナカ、準備ができ次第旅立とうと思います」

「うむ。犬の騎兵は珍しいから、特別な衣装を授ける。『こよりさん‐五四三特』だ。明日には仕上がっているから受け取ってから行けよ」

「はっ! ありがとうございます」


 翌日。武器庫で見たその衣装は!


「どう見てもしゃれたミニスカ衣装じゃないですかー! なんなのこれ!?」


 なんでも、制作班が言うには、君は存在感があるから。とのこと。いや、それだけでこれって。

 なんでも、制作班が言うには、この上にプレートをつけるし、エンチャントがかかっているからちゃんと防御効果が出るそう。ふつうのふくそうのほうがぼうぎょこうかでるって。

 なんでも、制作班が言うには、これでヒゲソリ騎兵隊が怖いだけの存在じゃ無いことを世間に知らしめて欲しいって。アイドルじゃねーんだし……。


 まあ、特注最新装備だということでミニスカ騎士に変身してこの街を去って行くのでした。



 あ、武器は鉄の棒です。なんだかんだ師匠の形見である『魔術の杖』と相性が良いのはただの棒なんだよね。

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