私の作品において、最初にでてくる敵性動物は大抵が熊です。クマー
カンカンカン
「これでよしっと。『モナカの何でもサービス提供所』」
爆心地の後に掘っ立て小屋を建てて看板を掲げる。
まーすぐに追いかけるなんて無理な話なんですよ。だって師匠が負けちゃう相手なんだから。今以上に訓練しないと。
そのためにはここで資金を貯めてもっと首都の方へ向かわないと。首都には凄い流派が揃ってるはず。そう言う所で稽古すれば力が付く。
……旅をするためにはお金が必要なのである。
ハーブも吹っ飛んだので本当に何でもやってお金を貯めないといけない。師匠、ハーブくらい残しておいてくださいよ。まったくもう。
それじゃあ雑用係、始めるとしますか。
主に街が私に振ってくれる仕事は三つ。
肉体労働
農場の支援
モンスター退治
この三つである。どれも肉体を酷使する作業である。お前らか弱き女性になんてことをさせるんだ。
いやしかし、三年みっちり鍛えたおかげでわりと体は仕上がっていた。この白い体、成長率はかなり高いらしいな。きつねだからかな?
肉体労働は建築材を運んだり、馬に乗って資材運んだり、ドブさらいをしたり等である。建築材は持てる量に対しての重さはかなり軽いし、お馬さんは凄く私になついてくれるので(きつねだからかな?)るんるんで運べるし、ドブさらいはキツいけど、主神がわからないけど『かわいい』シスターがいて体を浄化して貰えるし。
と、結構楽な仕事であった。どっちかというと帳簿つけるのとか倉庫の在庫数を数えるのに苦労したな。三年間筋肉筋肉だったからなあ。パワー! ヤー! ハッ(笑顔)
面倒なのはモンスター退治。
ゴブリンはどうとでもなるけど、村に肉食獣が現れ牛に被害がでたので対応してくださいとかとなると大変。ちなみに牛は乳牛だった。どう見てもホルスタインでぇす、本当にありがとうございました。
不思議な世界である。
まずは武器を扱っているお店で棒のレンタルをする。ケモノ相手ならリーチ命だからね。棒なのは安いから。あと、ぶん殴れば殺せる。槍を持って突き殺す必要はない。
数日分の食料を持ったらポニーに乗って村へGO!!
へへ、異世界って序盤は歩きだと思ってたけど街が発展してるからポニーに乗れるんだぜ。なぜポニーかというと背が小さいから。大きい馬乗れない。いや、乗れるけどとっさの行動ができない。クソー。
ポニーも凄くなついてくれて(きつねだからかな?)ポッカポッカ軽快に私を運んでくれる。こりゃ村まではすぐだな。
ポニーと一緒に尻尾を振りながら村へと到着。事情を説明してとりあえず寝る所を確保。今回は空き家があったのでそこになった。
「それで、被害に遭った牛はどのような殺され方を」
「もう二頭もやられている。それも昼間の放牧時にだ。乳と背中だけ食ってやがるんだ」
被害者の牧場主がそう話す。
「なるほど。処分していなければ被害の牛を見聞したいのですが」
と言って実況見分。
「ふむ……。複数のかみ跡はない。単独犯か。血液の出ている量が乳袋の方が多い、乳袋をひっかいてから背を食べているな。牛は暴れているようだ、多分生きたまま食べてる。牛を押さえつけながら食べられる筋力を持っているということか」
め、めんどー。巨大な肉食動物っすよこれ。熊系モンスターかなあ。近くの山へ入っている人に今年の木の実のなっている量を聞き出そう。
「木の実? 今年は全体的に山の恵みはあまりないわ。木の実もそう。作者教の主神『作者様』は厳しい年にしたみたいだわ」
さ、さくしゃきょー。どんな神様だよそれ。
いや、つまり山の恵みは少ないということ。それでお腹をすかせたケモノが里へ下りてきているという感じだね。ケモノはいてものけ者はいない。どんな生物だって生きるために必死なんだ。
熊かそれに準ずるモンスターだとみて作戦を立てる。
まず間違いないのは単独犯。
山に近い所で二頭は襲われている。山に生息していそうだ。
美味しい所だけ食しているのは警戒心が強いからだろう。執着せずにさっさと逃げているんだ。
美味しい所を知っているのはケモノの本能だろう。モンスター成分は少ないと見える。ただ熊なら獲物に執着するはずだからなあ。
昼間に襲えるのなら私が常駐していればこれ以上の被害はなさそうだ。襲い始めても私が駆けつければ警戒して逃げ出すはずだ。きつねの耳を舐めてもらっちゃ困るぜ。
ただ、これは私一人で解決できる案件ではない。街に赴いてもらって討伐隊を編成してもらおう。私は来るまでの間を守護すればよし。
ということで昼間の間、牧場で瞑想をすることを始めた。討伐隊の編成まで一週間、ここまで来るのに四日といった所か。長丁場だが感覚を研ぎ澄ます訓練にはなる。
白い色を〈
師匠が死んだ後に発見したのだが、師匠は私の特殊な体を把握していてくれて、私の中に〈
あと数年修行できていれば内部に色も持てたかもしれないな……まあ、考えるだけ無意味だ。私頑張るよ、師匠。
瞑想し始めて数日。ついに事態が動いた。私の研ぎ澄まされた感覚が、山へ近づいた牛に大型動物が近寄ってくるのを感じ取ったのだ。行くぞ行くぞIKZ!。
色を〈瞬〉にして現場へ急行する。
そこで見たものは、立ち上がった体高なら五メートルはあろうかというほどの巨大な熊であった。あかんこれ無理。
あ、メートル法はそういう風に勝手に翻訳されてるしヤードポンド法でもないのでそのまま使ってる。くたばれヤードポンド法。
ああそうそう熊。痩せ衰えているけどこの巨大さはちょっと。私の棒は一メートル五〇センチくらい。六角棒だけどそんなに堅くない。牽制するので精一杯だろう。突けば二メートルくらいは距離が取れるか。
私が来ても逃げようとしない。多分空腹に耐えかねて逃げる選択肢を排除したのであろう。このままだと私も牛もクマパンチで殺されるだけである。死なないことを重視せねば。時が来れば村人がやってくる。
色を〈守〉に変える。これでおそらく、出力全開で耐えれば死ぬことは無いだろう。瞬間的に最大出力まで上げる訓練は何度も行っている。
ただ色、つまり何らかの属性を使う際には精神力を消費する。
はたして上手くいくかどうか。
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