宇宙人・電気工事士の夢

@en24

第1話 登場


自分は電気工事士で、宇宙人。


この星はおかしい。サッカーという『玉けり』がもてはやされたり、野球という『棒あて』が大金をもらえている。


電気工事士など、インフラを支えている人間は普段見向きもされないどころか、災害などが起こると『復旧はまだか!』とか『災害に弱すぎる!』など、怒号が飛ぶ始末。真夜中だろうが、台風だろうが、緊急事態が起きたら、大雨の中でも異常がないか点検や修理に行くし、それは自分の子どもが熱を出していても、だ。


 そればかりか、子どもたちの夢トップテンにも入れず、おまけに技術者は一般人からすると訳が分からないことをやっているせいか、オタク・変人などのレッテルを張られている。


 ワイワイと騒がしい居酒屋。そんな愚痴を地球人の友達に言った。

「サッカー選手や野球選手は子供や大人に夢を与えるからね。仕方がないよ」

夢を?あんな玉けりや棒あてが?

最初に地球に来た時、本当におかしな星だと思った。

サッカーや野球などのああいう状況が日常であるだろうか?

 そういうプレーがカッコいいのも分かるが…。


「みんながみんな成れるわけではないからね。やっぱりすごいプレーをしている選手を見ると興奮するし、そのために努力してきた背景や生まれ持った才能を考えるとワクワクするよ」


 じゃあ、電気工事士が何もやっていないと?勉強してここでやっている。


「でも、お前にもわかると思うよ。電気工事士だってサッカーや野球に救われている人もたくさんいるし」


普段、当たり前にあるから分からないのだろうか?

 俺の夢は、そんな愚かな人類に俺達インフラ整備のありがたみを分からせることである。

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