第5話 褒美

「聖女様、勇者様に見られてしまいますよ。」


僕がそう言うと聖女は


「いいのです♡ もう私はあなたのもの♡ 一生あなたについていきます♡ あなたなしではもう生きていくことはできません♡」



僕たちの痴態を見て、勇者が鬼の形相で近づいて来たので、慌てて勇者にもハーレム香を嗅がせてみた。

すると、だんだんと勇者の表情が和らいできて、僕の横に寄り添ってきたのだ。


『性別関係なくいけるのかよ、この匂いは!』


聖女が馬乗りになって上で動いている間、勇者は僕の唇に口づけしてきたり、悦ばせようと体のいたるところを弄ったりしてきた。

敵対するくらいなら味方にしておいた方がいいだろうと思い、適当に相手をしてやったら涙を流して悦んでくれた。


するとまた脳内にアナウンスが流れた。

勇者クラスの男性をハーレムに加えたことにより、ハーレムキングのレベルが5に上がりました。これにより、2連砲を獲得しました。


その瞬間、僕のへそから松茸のようなものが生えてきた。


僕はすかさずダークちゃんを呼び出す。


『さすがご主人、これで細い女性なら2人で上で動いてくれますぞ。こんなに早く2人乗りを見ることができるようになるとは思いもしませんでした。』

『母娘丼などでも、主から2人を同時に攻撃することができますな。』


嬉しいはずなのに、だんだん人間離れしていく不安を隠し切れない。


僕は収納レベルマックスだったおかげで、普段は松茸をへその中に隠すことができて少しホッとした。遠くから見たらだだの出べそだからね。




王都に向かって歩いている僕らを見た人たちは、皆何とも不思議そうな顔をして通り過ぎていく。


聖女が僕の腕を組んで寄り添いながら歩き、僕の反対の手を勇者が恋人つなぎしているからだ。


さすがに勇者が腕を組んできた時は、頼むから手つなぎにしてくれと指示すると、まさかの恋人つなぎで指を絡ませてきた。


仲良し3人組で通していくしかない。


門番や衛兵にもじろじろ見られてしまったが、無事に王都に到着した。


そのまま王宮に通された僕らは、王様以下貴族の面々にねぎらわれ、最後に褒美の話になった。


「勇者アンソニー並びに聖女エレノア。」

「それぞれ伯爵家の名に相応しい見事な働きであった。」

「その方らには金貨1000枚と宝物庫から好きなものを1つ選んで持ち帰るがよい。」


「商人ユージ。そなたには金貨50枚を褒美とする。以上だ。」


「宰相閣下、少しよろしいでしょうか。」

「どうした、勇者よ。」


「はい、今回の討伐遠征で、商人ユージ殿の功績は大きく、再考をお願いしたく存じます。」

「これは決定事項だ。商人に褒美を渡すのなら、自分で払ってやるといい。」

「はっ、しかと了解いたしました。」



「ユージ様♡ これで良かったのですか?」


「ああ、あれくらいでちょうどいい。さてそれでは宝物庫に一緒に行くとするか。」


「はい♡」


ハーレムに加わった2人は僕の眷属なのだから、念話で指示を出すことも簡単にできた。


僕が後ろに手を組んで歩き出すと、勇者と聖女が後ろから僕の手をそっと掴んで付いてくる。




王宮騎士団に案内され宝物庫に3人で入ると、数々の財宝や魔剣聖剣といわれるような武器までが、所狭しと陳列されていた。


とりあえず2つもらえる分を選び、王宮騎士団に渡す。

晩餐会の時に皆の前で渡してくれるそうだ。


僕はその時、人目を忍んで収納に入り、パーソナル空間とこの宝物庫を紐づけした。


これで収納内のパーソナル空間からこの宝物庫に自由に出入りできる。

鍵さえ閉まっていれば、何か無くなっていても、僕の責任になることはない。




宝物庫から出て、3人で歩いていると、目の前に妖精のように可愛らしい女の子が現れた。


「勇者様、お勤めご苦労様でした。今晩催される晩餐会でお会いできるのを楽しみにしておりましたが、このような場所でお会いできるなんて、運命を感じてしまいますわ。」


「はっ、第2王女様におかれましては、いつもながらに驚かされてしまいます。労いの言葉ありがたく頂戴致します。」


「も~、堅っ苦しいあいさつはよろしくてよ。それよりこれから夜までお暇でしたら、私の部屋でお勉強を教えて下さらないこと。」



勇者は夏休みの間、何度か第2王女の家庭教師をした時にせがまれてキスしてあげたら、惚れられてしまったのだった。


「えーと、王女様、申し訳ございませんが、魔王から受けた傷が癒えておりませんので、今日はご遠慮させていただきます。 」

「そうよね、疲れているのに、私ったら、ごめんなさい。」

「いえ、元気になったら、いつでも馳せ参じますので、その時はよろしくお願い致します。」

「はい、楽しみにしてますね。」

勇者と王女が別れの挨拶を終えた瞬間、僕は薄めたハーレム香を第2王女に飛ばして嗅がせておいた。


これで今夜は忙しくなりそうだ。


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