今日の昆虫

広瀬涼太

弥生 ―2023年3月―

1種目 キタキチョウ

 啓蟄けいちつ。二十四節気の一つで、今年は3月6日にあたる。

 つまり、冬ごもりをしていた虫たちが姿を現し始める日だ。


 冬の間も活動する虫もいることはいるが、早春の先陣を切って山野をいろどるのは、成虫の姿で越冬してきた虫たち。


 筆者の仕事場に近い都市公園でも、花壇の上を黄色いチョウが舞っていた。


 黄色いチョウだから、名付けて『黄蝶キチョウ』。単純すぎると思われるかもしれないが、昆虫なんて小さな町にも一万種以上はいる。いつでも見られる種なんて、簡単な名でいいのだろう。

 ただそれは、どこにでもいる種をないがしろにするわけではない。覚えやすいことは、親しみやすいことでもある。


https://kakuyomu.jp/users/r_hirose/news/16817330664229337466

 (2023年9月24日 写真を追加)


 かつてキチョウとだけ呼ばれていた種は、トカラ列島以北に分布するキタキチョウと、奄美大島以南に分布するミナミキチョウの2種に分けられた。その見分けは困難だが、本州・四国・九州でみるのはキタキチョウと考えていいだろう。

 他に、関西でみられる黄色いシロチョウの仲間には、ツマグロキチョウとモンキチョウがいる。


 2023年、初めて見たチョウはキタキチョウ。その一匹だけで、運動不足解消を兼ねた散歩は終わった。


 啓蟄は過ぎたが、都会の春はまだ少し先のようだ。

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