第16話 2/11 デート?1 <優しいお誘い?>


2023年2月11日 土曜日 第2週目


「何やっているんだぁー-‼」


 俺は自分のベッドの中でじたばたしていた。

 ばたばたと布団を動かしてたまに咳き込みながら必死にもがいていた。

 自分のベッドの中で。

 理由は簡単。

 昨日のことだ。

 奥川さんにそれらしいことを言われたからといって、いきなり家に押し掛けるとかヤバすぎる。

 しかも恥ずかしい言葉を連続で何回も言っていた。

 一つ一つ思い出したくないのに勝手に脳内で再生されていく。

 俺は、体力を使い果たすまで繰り返した。

 そして、動く気力もなくなったところで携帯をとって音楽でもかけて落ち着くこうとする。

 画面を開くと一件のメッセージが届いていると書いてあった。

 誰だろう。

 まさか、平野さんから……。

 俺は目を少しだけ開けて恐る恐るメッセージを開いた。



<メッセージアプリ>

鉄平―たまには図書館で勉強しないか?



「うぉりゃ」


 俺は、メッセージを開いたまま勉強机の方へとスマホを投げた。

 ドンと携帯が机に当たる音が聞こえた。


 今、お前に構っている余裕はない!


 俺は音楽を聴くのをやめて再びベッドの中でじたばたやり始めた。

 すると、もう一回メッセージ音が鳴る。

 いや、鉄平に構っている暇はないって。

 俺はそう思いながらもメッセージの中身を見た。

 今度こそ平野さんか……。



<メッセージアプリ>

ASUKA―デートしよ!



「うりゃ!」


 握った携帯を今度は自分のベッドの方へと思いっきり投げた。

 今度はぼんと勢いが吸収される音がした。

 ただ、落ちる音が変わっても俺の気持ちはさっきとさほど変わらなかった。




 お前ら暇人か‼




 あいつらには受験っていう概念はないのだろうか。

 俺はスマホを拾って、音楽をかけることにした。

 俺はとりあえずアニソンでもかけることにしようかと思い、アニソンメドレーのボタンを押そうとする。

 すると、再生ボタンを押すより先に電話がかかってきた。

 俺は、よけようとしたがすでに指が液晶を触る寸前だったこともあって通話ボタンを押してしまった。


「優気、今ひましてる?」


 なんだか元気そうだった。


「いや、別に」


 昨日の一件は奥川さんが発端だったからあの後どうなったのか少しは話しておかないといけないけど、なんだかここで暇だというと嫌な予感がする。


「どうせ、ひまでしょ」

「勉強で忙しい」

「じゃあ、一緒に勉強しよ」

「一人でいい」

「一緒に行こうよ」


 俺は小さくため息をついた。


「ちなみにどこでするつもり?」

「水族館」

「デートだろ!」

「勉強デートかな?」

「一人でどうぞ」

「魚の勉強になるよ」

「興味ない!」


 俺は電話をしながら自分の勉強を始めるために机の上に参考書を開いた。

 よし、これで勉強の準備は完了。

 後は電話を終わらせるだけ。


「それじゃあ、そろそろ勉強があるから切るよ」

「待って!もし、このまま切ったら桜に優気が桜のこと好きって言うから‼」

「ちょっと待て‼」


 いや、それはまずい。

 特に、昨日の今日だし。

 もし、今俺が平野さんのことが好きだって分かったら昨日の話も下心があってのことだと思われる。

そしたら普通にやばいやつになる。

 平野さんはきっと二度と俺と目を合わせてくれることはないだろう。


「集合時間は?」

「1時間後!」

「了解……」


 俺は力を抜きながら電話を切った。

 そして、必要な荷物をバッグに詰め終えたところでふと思った。












 てか、どこの水族館だよ‼


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