風花ちゃんは止められない
《少し前》
「ねえ、風花! 風花、私に票入れてくれたんだ! 私の事、可愛い人って、好きな人って思ってくれてたんだ!」
「うん。私、翠ちゃんの事、可愛いと思うよ。クラスの中だったら、翠ちゃんが一番好き」
確かにあの悠真君に誘われて参加したよくわからない人気投票は、翠ちゃんに投票した、翠ちゃん好きだもん。
翠ちゃん可愛くて好きだから、翠ちゃんに投票したよ。
「そっか、やった……やったぁ! 私も、私も! 私も風花の事好き、風花の事大好き! 風花の事、本当に大好きだと思ってる! この世で一番、風花の事が好き!」
「う、うん……な、何か熱量すごくて、ちょっぴり怖いよ……そ、それが何? どうかしたの、それが?」
「も~、わかってるくせに、風花!!! ね、風花私たち、両想いってことだよね、そうだよね! 私たち、両想いの大好き同士なんだよね!」
「え、両想い? へ?」
「うん、両想い! その反応、良かった……こほん。風花、私風花の事、ずっと大好きでした、会った時からずっと好きでした! 私と付き合ってください!」
「ふえ!?」
え、付き合う、翠ちゃんと……え!?
え、あれそんな話だったの、私てっきり……え!?
「だって、その……風花も、私の事好きなんだよね? だから、その……私と付き合って欲しいです! 風花と私、恋人同士になりたいです!」
翠ちゃん、凄い真剣だ、真剣な目つきだ。
「あうぅ、翠ちゃん……」
「お願いします、風花! 私と付き合ってください!」
「うぅぅ……」
確かに私も翠ちゃんの事好き、翠ちゃんの事は好きだ。
で、でも風花は、その……風花は、悠真君と居る時が、一番幸せで、嬉しくてポカポカする時間で、それが、最近もっと、大きくずんずんなってて。
クリスマスくらいから、悠真君と一緒に居る時の、幸せ時間も、甘々時間も、いっぱい増えてて、それで、風花は、悠真君と、結k……あ!!!
「結婚、お付き合いしてn……」
「え、結婚! 風花、私とそんなところまで……嬉しい! 私すっごい嬉しい、私もしたい! 風花と結婚、私もしたい! 一緒にウエディングドレス着よ!!!」
「あうっ、違う、その……私、翠ちゃんと……」
「え、違うの? 風花違うの……私と付き合って、くれないの?」
「あうぅ……」
……ダメだ、私翠ちゃんにこんな目で見つめられたら断れない、翠ちゃんの事も好きだから、このお誘い断れない。
こんな可愛い顔で見られたら……女の子の中で一番好きな翠ちゃんにこんな顔されたら断れない……でも、どうしよ、私、悠真君と結婚……あうぅぅ……
「ねぇ、風花? 私風花の事大好きだよ……風花も私の事、好きなんだよね? もしかして、本当は嫌い? 私の事、本当は嫌い?」
「ふえ、あうぅ……す、好きだよ、翠ちゃんの事。翠ちゃんの事、私は好きだよ!」
「よ、良かった! それじゃ、お願いします! 私は風花とお付き合いしたいです、私と付き合ってください!!! 本当にお願いします……お願いします!」
「うゆっ……」
……翠ちゃん、本当に真剣だな、本当に私の事大好きなんだな。
さっき嫌い、って聞いてきた時もかなり心配そうで、瞳がウルウルしてたし、それに色々……本当に私の事、すごく好きでいてくれてるんだ。
どうしよ、私?
風花は、悠真君と、結婚して、ラブラブ甘々で、いつもぽかぽかほわほわして、幸せお腹いっぱい感じれる時間、過ごしたいけど、でも……翠ちゃんが悲しんじゃって、泣いちゃうの嫌だ。
こんなに私の事好きだと思ってくれてて、こんなに私の事大好きって言ってくれて……そんな翠ちゃんの事、悲しませる嫌だ、翠ちゃんが悲しい気持ちになるの嫌だ。翠ちゃんが私にフラれて、それでまた……そう言う事なっちゃったら、私嫌だ。
「風花? 風花……好き、何だよね? 風花も私の事、好きでいてくれてるんだよね? 私は大好きだよ、風花の事。本当に大好き、ずっと思ってた。大好きで、大好きで風花への想い止まらないの!!!」
「あぅぅ……」
そうだ、私も好きって言ったもん、翠ちゃんの事。
私が好きって言ったんだもん……だから翠ちゃんも、私の事、大好きになってくれたんだもん。
「風花、風花、風花……大好きです! 本当に、大好きです!」
「み、翠ちゃん……」
そうだよ、私が好きになったんだから、翠ちゃんの事。
だから、風花は、悠真君と、結婚したい。悠真君と、幸せな時間、過ごしたい……でも、私は、私は……
「風花? 風花……私と、付き合ってくれる?」
「……う、うん! 付き合う、私も、翠ちゃんの事、好きだから! 私も大好きだから……私も、翠ちゃんの事、大好きだから!!!」
……だから、私がちゃんとしないと、翠ちゃんの事、私もちゃんと大好きにならないと……翠ちゃんが泣いちゃったり、悲しまないように。
私も翠ちゃんの事大好きになるんだ、翠ちゃんの事大好きになって、それで……そうすれば、全部、良いもんね!
だって、そうすれば翠ちゃんは悲しまないし、幸せになれるし、それに……よく考えれば、悠真君も私と結婚したいって思ってないかもだし。
風花は、悠真君と、一緒だと、幸せいっぱいふわふわ時間だから、ずっと、そう思ってたけど、でも……悠真君は、そう思ってないかもだよね。
最近、色々、断れてたし。私の幸せもドキドキ、いっぱい増えてるのに、悠真君は、少し、冷たかったし。
お風呂も、一緒、入ってくれないし、ご飯も、たまにしかだし。ちょっと、避けられてたし。
甘々時間も、最近は、二人で、悠真君のベッドの中で、してくれなくなったし……風花はそれでも、悠真君に包まれて、悠真君がいっぱい甘々してくれて、幸せ……えへへ、幸せ……じゃなかった、悠真君は、その……ちょっと風花と……風花と結婚したいなんて、悠真君、思ってないから。
風花は、悠真君の……ただの幼馴染だから。ただの幼馴染で、それ以上にはなれないんだから。
「風花……風花! 私嬉しい、本当に嬉しい!!! 私も大好き、大大大好きだよ、風花!!! 風花の事大好き、これからもっと大好きになる! いっぱいデートしたり、大好きしたり……いっぱいいっぱい、風花と大好きしたい!!! 風花の可愛いとこ、いっぱいみたい!!!」
「う、うん……私も、大好き! 私も、いっぱい、したい……翠ちゃんの事、いっぱい大好きになりたい……もっと大好きに、なりたい!!!」
悲しいけど、風花は、悠真君の、ただの幼馴染で、そう言うのじゃない……そうだから、絶対、そうなんだから!
悠真君は、風花の事、その……好きとか、結婚したいとか……そう言うの絶対考えてないから。悠真君は風花の事……絶対そんな感じで、見てないんだから。
「大好き! 大好き!!!」
「うん、大好き……大好き!」
それに私は翠ちゃんの事、大好きだ!
私の大好きは、翠ちゃんなんだ、翠ちゃんが大好きなんだ!!!
翠ちゃん可愛いし、いい子だし、それにそれに……うん、やっぱり好きだ。私翠ちゃんの事、大好きだ……翠ちゃんと付き合って、もっと大好きになりたい!
もっともっと、私の事大好きって言ってくれる翠ちゃんの事、私も大好きなって……私たちで、幸せ時間、もっと作るんだ! 翠ちゃんと、大好きで、幸せふわふわな時間、作るんだ!
「うん、うんうん! 風花大好き……えへへ、大好き! 大好き大好き、大好き!!!」
「うん、私も……私も大好き! 翠ちゃんの事、私も大好き!」
「私も! 私も私も……えへへ、凄い幸せだ、私……風花と付き合えて、私すごい幸せ。本当に大好きがいっぱい溢れる、本当に大好き……ずっと一緒に居ようね、風花」
「うん、翠ちゃん……私も幸せだよ」
うん、幸せだ、私今!
大好きな翠ちゃんと付き合えて、幸せ! 私はすっごい幸せ者だ!!!
今が一番、私の人生の中で幸せ!!!
―そう自分に言い聞かせてたんだけど。翠ちゃんと付き合ってる今が一番幸せだって、自分に言い聞かせてたけど。
「悠真君、可愛い? 風花、可愛い……悠真君の大好き、風花、なれてる?」
―でも、悠真君への想い、やっぱり抑えられなくて。悠真君が女の子と話してるだけで、もやもやして、やっぱり幸せ時間は、悠真君が一番濃密で、一番好きで……
「えへへ、幸せ……悠真君に包まれて、風花今、一番幸せ……えへへ」
―だから風花は悪い子だ。悠真君の気持ちも、翠ちゃんの気持ちも踏みにじる、悪い子……でもね、でもね!
「悠真君、その……悠真君は、歩美ちゃんと、付き合ってるの? 風花、その……いやだな、それ」
―でも、止められないから。悠真君への大好き、もう止められないから。
★★★
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