良面、抜刀ス
「ファイッ!」
ビショップの声に弾かれたように、リカルドは後ろに跳ぶ。ミゲルの一発目をかろうじて避けると、そのまま回れ右をして走り出した。
「え? 逃げた?」
タンユを含めた観客全員が唖然とした。ミゲルもまさか逃げられると思ってなかったようで、一瞬固まる。
リカルドは、ミゲルから二十メートルほど距離が取れたことを確認し、
振り返る。
そして、膝をつくような姿勢から逆手で持った警棒の先を地面に押し付けて、上に振りぬいた。
警棒の先から石畳が削られ、道はめくれ、破壊された瓦礫が宙を舞う。
なにか見えない何かが、でも確実に何かが射出されていた。
ミゲルの左胸と左肩に衝撃が走る。そのまま見えない何かは彼を後方へ吹っ飛ばした。
ボコンッ!という音ともに、観客の人垣を超えた先に停めてあった黒塗りの自動車のボンネットへミゲルは叩きつけられる。
この事態を引き起こした張本人を除いて、そこにいた全員が呆気に取られて動けなかった。リカルドは、ミゲルへ急いで駆け寄る。
「あ~~良かったぁ。腕、くっついてて。だいぶ地面で勢い殺したけど、腕ごと飛ばしちゃったら、どうしようかと心配してたんだよね~」
完全に失神しているミゲルを指さしながら、ビショップとタンユへ「救急車お願いしま~す!」とリカルドは、大声をあげた。
「だから、言ったべ。あの子に武器持たせちゃイカンって」
いつの間にかタンユの横に来ていたゴブリン退治の爺さんが言った。
んだんだ、と残り二人の爺さんが頷いた。
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