第23話

ラジオ体操が終わり2時間程度普通に業務を進める

とはいえ大半は日々の残業で終わっているため、今日やるのは部品などの発注や客への連絡その他諸々だ

それ全てが終わる訳では無いが、ある程度やっておかないと会議後に地獄を見ることになる



(目処がついたな。っと、そろそろか)



夜斗は形だけのノートを手に会議室に向かった







会議が淡々と進む中、夜斗は眠気と戦っていた

そしてそろそろ限界というところでようやく昼休憩となり、即座に財布を持って喫煙所に向かう



「先輩ー。なんか課長が昼休み後にこいっていってたっすよ」


「マジかよ。まぁ行くけど」


「行くんすね…。ついでに言っとけばいいんじゃないすか?」


「そうするさ。とりあえず俺は一服する」



夜斗は電子タバコを取り出した

後輩もそれに倣い、火タバコを取り出す



「火タバコは体に悪いぞ」


「体に悪いからでやめれるなら始めてないっすよ」


「それもそうだな」



霊斗にも同じことを言われていた



「それより、なんか今教育委員会から人を貸せって依頼来てるらしいっすね」


「そうなのか?まぁ、そんなの教育課からいくだろ」


「そっすね〜。本社も大変っすね、静岡県のために教育課出すなんて」


「つか何の教科やらされんのそれ」


「うちにきたのは商業科高校の…なんだっけな、システム情報工学科ってとこっすね。なんか給料上がるらしいっすよ」


「はーん。お上の考えることはわからん」


「教師として行く手前教員試験はあるっぽいっすけど、それ突破すれば残業ゼロで今の残業込み賃金1.25倍の給与になるとかなんとか?会社にも補助金が毎月出るみたいっすね」


「それローンの申込みとかどうすんだろうな。うちの会社の名前で出すのか教師として出すのか」


「さぁ?現場員には関係なさそうなんで調べてないっす」


「だよなー」



アハハハハと豪快に笑う2人

通行人が少し不審そうな目で見ていたが今は作業着ではなくスーツだ。会社の特定はできないだろう



「実際先輩にきたらどうします?」


「受けるけど、頼りない後輩置いてくのが気掛りだな」


「酷いっす、これでも3年目なのに」


「先週部品ぶっ壊して泣きついてきたのはどこのどいつだったかなぁ?」


「うぐぅ…」



小さく笑う夜斗

結婚しようがしまいが、こういった雰囲気の場所も必要だ



(教師、か)



夜斗はすぐそこにある総合高校に目を向けた

生徒が嬉しそうに飛び跳ねているのが目に見える



(元気なこった。やはり合わんな、ああいうのは)

  


夜斗は電源の切れたタバコをポケットに押し込み、後輩とともに昼飯を食べに歩き出した

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