第9話 「そのお肉なんの肉?」


Gモドキの討伐報酬?


俺は……いや朱の咆哮メンバー全員がこの状況を飲み込めなかった。


『贅沢牛すき鍋セット』

┗白菜、人参、椎茸、糸こん、牛肉(霜降り)が入った美味しそうな鍋。

HP・MP回復。

※食べる時は暖めて食べてね。

※スープは別でGETするべし。


「何でGから牛肉が出んだよっ!?あとせめてスープも一緒にするべきでは!?具材だけあっても食べれないよっ!焼けってか!?それは鍋じゃねぇっ!!」

後ろで我がクランのツッコミ担当が叫んでいる。

だが、大丈夫だ。

今全員が同じ考えだからさ。


「ザクロは知らなかったんですか?」

「……俺が自分からGモドキを触るとでも。……後、食材さえあれば自分で作れるし……」

触るとか無理。

見るのも出来れば遠慮したいレベルなのに。

「リーダーはG駄目でござったか、では沼地を越えるまでは某が狩るでこざるよ」


サカイさん!

今日は何時にもまして輝いてる。

でも、アサシン的には輝いてたら駄目な気がする。

しかし、G駆除の使命があるから仕方ないな。


「じゃあ、リーダーはここで何を狩ってたの?」

「え?ワニモドキとカバモドキ」

ツクヨミさんに聞かれたから答えるが、亜種とか複数居たからイチイチ正式名称覚えてないんだよな。

「名前覚えてないんですね。ザクロらしいと言えばザクロらしいですが……因みにアイテムは?」

ため息混じりに言わないでほしいです、クロウさん。

しかし、アイテムか……

「ワニモドキがお肉でカバモドキがスープ。カバモドキの落とすのが多分鍋のスープだな」

まぁ、俺は鍋じゃなく煮込み料理とかに使ってたんだけどね。

スープの詳細には書かれていなかったから、今回のイベントで追加されたのだろう。

用意した具材を無視して、別な料理を作っていたヤツがいたんだろうな。

……誰の事だろうね。


「味は確か……黒:醤油、茶:味噌、青:塩、白:豆乳、赤:キムチ……だったはず」

「キムチ鍋いいですねー。あ、豆乳も捨てがたい」

「豆乳いいわよね!どこかに白カバ君いないかしら?」

キョロキョロと見渡すが鬱蒼とした沼地に白い物体は見えない。

色的に白いカバがいたらすぐ気付きそうなもんだけど……


白、白ね。

アレは白じゃないし。

このモフモフも違うしな。


「ん?……んー?…………いないな」

『ちょい待て!さっき絶対儂に気づいていたよなっ!無視するでない!』


チッ!

スルーされとけよ、このモフモフめ。

浜辺エリアからコソコソ着けてたきやがって。

今日の鍋の具材にしてやろうか。


『今儂を鍋の具材にしようとしなかったかっ!?このプリティーな儂を食べる気か、この悪魔!!』

「気のせい気のせい。あと、お前をそのまま鍋に入れたら毛だらけになるから。さっさとアイテムになれや」

『そう言う問題ではないわっ!と言うかそれ儂死んでるよなっ!』



「そこまでっ!」


「『イッタァッッ!!』」

白モフモフと言い争いをしているとクロウにデコピンされる。

頭蓋骨にビリビリ響くとかどんだけ馬鹿力なの。

痛くて涙出てくるんですが……



てか、俺デコピンされるのおかしくない?


『ハッ!ざまぁ……ないな小僧!』

いや、俺より痛そうだけど。

涙ボロボロじゃん。

尻尾と耳がヘニョンと垂れてるしプルプル震えてるよ?



「で、ザクロこれ何?」

「え?何?……えー……何と言われてもな……」

そう言われると、なんと答えるのが正解なんだろうか。

「んーあえて言うなら……」

「「「「あえて言うなら?」」」」

皆揃えて言わなくても……

何かミョーに緊張するじゃんか。




「この島のヌシ。…………ラスボスかな?」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る