第10話

あの事件から暫く、俺は普通の生活を楽しんでいた


一部の異能は便利だから普段から使ってるけど

それ以外は至って普通だ


というのも国家異能どうたらの偉い人に

「暫くは仕事しなくていいよ(意訳)」って言われたから暇なんだよね


勿論人助けはするようにしてるが…

助けを求めてる人なんてそんなに多くないからな

人助けしてても暇


それに依頼の方も…

死にかける位ならそこまで頑張らなくても良いかな一応生きる為にアルザレル様広めてるんだし


って感じで無理してまで依頼をやる意味は無いんだよな、けど退屈なのは嫌!


なのでオカルトに精通して霊媒師的な感じに人助けをしようと思う


ってことで心霊系の動画とか霊感をコピーして心霊スポットに行って見よう!


ーーー


俺は今、自分の軽率な選択を猛烈に後悔している


なんてったって心霊スポットの廃墟で異界的な場所に閉じ込められ、化け物に追われてるからな


窓や玄関は消失したし

転移テレポート】でも廃墟の外には出られない

から逃げられない


それでも幽霊なら弱点や解決方法があるはず!って事でこの場所を探索してるが何もない


本当に一切何も無かった、棚や机はあったがその中身は全て空、完全な張りぼてである


ここは一体何なんだ…?


ーーー


やばいやばいやばいやばい!

謎のバックパックがあったから中身を覗いたら化け物が凄い勢いで追いかけてくるんだけど!?


あれもしかして凄い大事な奴だった!?

中身ちゃんと見たらこの場所から出られたりする奴だった!?


…それならあいつから逃げ切ってバッグの中身見よう!そしたら脱出だって…玄関だぁ!?


マジで玄関じゃんアレ!なんで!?

今まで頑なに出てこなかったじゃん君!


急にどうしたの!?え?脱出の条件が揃った?

いや、それはない!これ罠だろ!


思考が駆け巡るが、そもそもここは一本道、出口しか逃げ場は無い、行くしか無いのだ


そうして辿り着いた出口の先は…

外、普通に外である


「なんで…?」

「それは俺のお陰だぞ!」

「!?誰だお前は!?」


突然声が聞こえたので急いで振り返るが…何処にも人は居ない、それに声も後ろからでは無いらしい


「おーいまだか〜?俺は持ち物の中に居るぞ〜」

「また後ろ…持ち物の中?」


後ろから声が聞こえてきたかと思えばバックパックの中に居るらしいのでバックパックを漁ると…


「おお!ようやく出てこれた!ありがとう!」


懐中電灯が出てくる、浮いてるし喋る

しかもめちゃくちゃ友好的である


俺は懐中電灯が喋る事に混乱しながらも友好的らしいので質問してみる


「なんで喋れるの…?」

「おぉ!それは俺が呪われてるからだ!こんなでも呪物なんだぞ!」


…は?呪われてる?懐中電灯が?


「あ、でもこうやってコミュニケーションを取れるのは俺が元人間だからだな」

「元人間!?」


元人間なの!?懐中電灯なのに!?


「おう、あの廃墟に封印されてる存在に殺されてな気づいたら懐中電灯になってたんだよ」

「へぇ…そうなんだ…」


聞き流していたが封印されてる存在か

流石に気になるな


「封印されてる存在って?」

「分からん、多分俺と同じ呪物だと思うんだけど…それにしては強すぎるしなぁ…」


そうなんだ…


「…あれ?封印されてるのに殺されたんですか?」

「あー、あの廃墟に封印されてるから廃墟に入ったら普通に殺されるんだよ」


えっ、何それ、こわ…

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