かくれんぼ
お姉ちゃんが行ってしまって、お兄さんが隆太郎に聞いた。
「りゅうくんは今日が初めてだから、鬼か隠れるか、どっちか選ばせてあげる。どっちがいい?」
隆太郎が迷うので、お兄さんが付け足す。
「鬼は多分、僕かお姉ちゃんが1人は付くし、隠れる方も、必要だったら僕かお姉ちゃんと一緒にできるよ。好きな方選んで。あとの2人も同じだからね。今決めてて。」
『決められない』
「おっ。じゃあさ、ここのこともあんまり知らないだろうし、いろんな場所を見られる鬼にしようか。別に、途中で変わってもいいし。一緒に回るのは僕でいい?」
隆太郎はうなずいて、続々とお昼寝組が起きてきた。最後の小晴とお姉ちゃんが戻ってきたところで、お兄さんが説明する。
「お姉ちゃんから聞いたと思うけど、かくれんぼするよ。ゆうきくーん。まだ眠そうだな。かくれんぼの間に寝ないでね。じゃあ、鬼したい人!」
誰も手を挙げないので、お兄さんが言った。
「僕が鬼の方を回るから、お姉ちゃんは隠れる方をサポートしてほしいかな。」
「分かりました。みんな、これでどっちを選んでも安心だよ。本当に自分がしたい方を選んでね。」
「ちなみに、りゅうくんは鬼だよ〜。ああ、それなら男の子と女の子で分かれようか。ちょうど人数もいい感じだし。一応聞くけど、それで嫌だって子、いる?」
「いなさそう…ですね。」
と、言いながら、お姉ちゃんはホワイトボードに流れを書いていく。
『おとこのこが2かい、おにをしたらおんなのこに、こうたいする』
「2回ずつ遊んだら、今日はおしまいね。そのあとは、自由な時間。」
「分かった?よし。僕達は後ろを向いて、10数えるね。隠れる準備はいい?いくよー。1、2、3…」
男の子はみんな、まだあまり喋れないので、お兄さんだけが数えているようなものだったが、優希は小さい声で数字を言っていた。優希だけにしか聞こえない声だったかもしれないが、優希は自分で自分の声を聞いた。緊張もしなかった。
「もういいーかい。」
「もういいーよ。」
「よし。行こう!あいとくん、不安そうだな。見つけたら、とんとんって肩をたたけばいいから。いい?できる?」
愛翔がうなずき、探しに行こうとするとお姉ちゃんがやってきた。
「みんな、1人で隠れられるって言うから助けにきたよ。」
「助っ人降臨だね。あいとくんかゆうきくん、一緒に回ったら?」
返事がないので、お姉ちゃんが言った。
「まあ、私は適当に見回るよ。まずはあいとくんと回ろうかな。」
「決まったね。今度こそ行こう!」
不安があった子もいたが、みんなが楽しめたかくれんぼになった。
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