第17話 猫なの? 犬なの!?②

 冒険者ギルドに入り受付を見ると、安定して客のいないルシオラが目に入ったのでそこへ向かう。

 俺はルーナと共にギルドカードを提出してから、ゴブリンの耳20個と大量のカイフー草を入れた皮袋を俺が2つとルーナが1つの合計3袋を受付においた。


 「ゴブリン20、と薬草3袋だ。査定を頼む。それからこの幼獣なんだが、何か登録が必要か?」

 「か、かわっ」

 「え?」


 ルシオラがバジュラを見て声をあげたのでそちらを見ると、こちらに気が付いてだらしなくなった顔をキリっとする。


 「ばじゅらなの!」

 「か、かわっ」


 今度はヒナに対して可愛い病を発症させたルシオラを見ると、またキリリとする。

 いや、もう明らかに可愛い物好きが俺たちにバレているんだから、そのコント見たいな切り替えはしなくてよくない!?

 

 ゴホン


 「それでは査定してまいりますので少しお待ちください。それからその幼獣に関しましては、従魔登録をお勧めします。それによって何かあった場合には、従魔登録の証明やギルドから調査をしてトラブルを避けることもできます。どちらの従魔として登録をしますか?」

 「ひな! ばじゅらはひなのなにょ!」

 「えっ」

 「ルシオラさん、この子トラ……バジュラって言うんだが俺たちの言うことも聞くが、主人はヒナなんだ。どうすれば良い?」

 「そ、それは……。ヒナちゃんは冒険者登録をしていないので、お二方のどちらかの従魔にしないと……」

 「いやぁ。ひなのだもんっ!」


 ヒナはそういうとイヤイヤする。

 そのヒナの足元にはバジュラが主人を慰めるかのようにスリスリしていた。


 「なんだ? どうした」


 隣の列に並んでいた冒険者から声が上がる。


 「冒険者登録には年齢制限はないって前に言っていたよな? この薬草もバジュラが探したりヒナも手伝って採集している。どうにか登録することは出来ないか?」

 「しかし、こんな小さな……」

 「クエストを受ける場合は、俺たちのどちらかが一緒にいたりすれば問題はないだろう? それに今ならバジュラもいる」

 「……わかりました。では登録用紙をお持ちしますので、少しお待ちください」


 ルシオラはそう言うと、俺たちが受付に置いた皮袋を持ってギルド裏に移動した。

 しばらくして戻ってきたルシオラに渡された登録用紙に、俺が抱き上げたヒナが名前を書くとその後はルーナが代筆する。

 そしてその用紙を確認してから受付から出て来たルシオラが、ヒナとバジュラから採血してヒナとバジュラの手を水晶に載せると、またギルド裏へと戻っていった。


 「これがヒナちゃんのギルドカードです。このカードにはバジュラの従魔登録も済ませています。今回の常時依頼は三人で達成した事にしました。また、ゴブリンの常時依頼が1回銀貨5枚、薬草の1回分が銀貨1枚と銅貨5枚です。ゴブリンが4回分、薬草依頼が18回分で合計で金貨4枚と銀貨7枚です」


 ルシオラはそう言うと、俺たち三人のギルドカードと共に報酬をわたしてくれた。


 「ありがとう。また来るよ」

 「お疲れさまです」

 「ルシオラおねえちゃん、ばいば~い」

 「わふん」


 俺たちは報酬を受けとりルシオラに別れを告げると、顔のニヤけるルシオラを確認してから受付を離れるのだった。

 その後に俺はクエスト報酬を3分割して二人分の金貨3枚と銀貨2枚をルーナに渡す。


 「しかし、ヒナはギルドカードをルーナに持っておいてもらうか? 本人が持っていなくても良いものなのかな?」

 「もう一回、聞きにいく?」

 「ひながもつぅ!」

 「んー、ヒナが持つなら首から下げる入れ物か何かも買いに行くか。ついでに少し遅くなったが昼飯だな」

 「わーい!」


 俺たちはその後に屋台で昼食をとり、雑貨屋でヒナの持ち物を買うとナンナ家まで戻り別れたのだった。

 




 ☆☆☆☆☆☆


 ~ ひなのにっき① ~


 きょうは にいにとるーなで ぼうけんした。

 やままでたくさんあるいたら ばじゅら ひろった。

 ばじゅら ひなのきもち わかるみたい。

 ばじゅらの あるじ? になるのに ひなはおとなのあかし ぎるどかーどをてにいれた!

 これでひなも おとなのじょせいなの。


 それからにいにが もじのれんしゅうにって のーとかってもらた。

 にっきかいたらどうだって。

 ぎるどだと なまえだけしかかけなかったけど ゆっくりかけば ひなはこんなにもかけるんだよ!

 きょうはたのしかったなぁ。

にいにが おとーしゃんになってくれたらなぁ。

 



 

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