余りに壮大で感動的な叙事詩

作者は知る人ぞ知る笑いの名手だ。
只、この物語に関して言えば、
とにかく、壮大な叙事詩を只管に
真剣に、紡ぎ織って行く。
 ギリシャに関しては今まであまり
強い関心を向けては来なかったが、
この作品は、それを一刀両断する程に
魅力的である。そして、勉強になる。

作者はあくまで 偽史である と
断りを入れてはいるが、章の途中に
登場人物や、当時のギリシャの
歴史的背景が懇切丁寧に解説されて
いて、初心者にも優しい。

それ以上に登場人物が魅力的であり
彼等を取り巻くドラマが当時の風俗
関係性を背景に、複雑に絡み合って
行く。時に笑い喜び、憤り涙する。

これは歴史書であって一途な少女と
少年たちの恋物語である。そして
アテナイとスパルタを巡る戯曲でも
あり、壮大な美しい叙事詩でもある。

感動する事は間違いない。
そしてギリシャ通にもなれるかも。
長編だが決して読んで損はさせない
この素晴らしい物語を、是非にも
体験される事を…。

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