ダーク・ゾーン❗

淡雪 隆

第1話 浮世の孤島❗ Ⅰ


           淡雪 健


  第一章 自堕落じだらくな男


        Ⅰ


 夏から秋に変わるころ、もう十月というのに、まだ暑い。此処は東大阪の中小企業や、個人商店等が立ち並ぶ下町の一角、貧乏人の集まりだ。そんな町の片隅に生きてきた、俺は『安倍川勇二あべかわゆうじ』というケチな野郎だ。気がつくと、もう二十七歳。何にもやる気が起きなくて、パチンコ屋のアルバイトやコンビニのアルバイトや、拾い仕事などを色々やってみたが、なにをしても一月も続かないが、たまにやるアルバイトを何日かしながら金をためている。勿論、家には一錢も入れないで、パラサイトしている。とにかく! 今では、何もやる気が起こらない。億劫なんだよな。何のために生きているのか解らない、高校二年から学校にいくのも怠惰だった。最初のうちは、級友や学校の先生などが学校に登校するように説得に来た。その説得を聞くのも身体から力が抜けていくだけだった。勿論親父やお袋も俺に泣いて話し合いに来た。親父は下町の小さな工場の旋盤工をしていて、お袋は近くのスーパーのパートタイマーをしている。とにかく、煩いばかりだった。俺の部屋に入ってくるなり、親父からは、

「勇二! お前学校に行かないのならお前の食事も無しだ❗」と怒鳴られたので、俺は二人とも頭以外、ところ構わず袋だたきにしてやった。やり過ぎて、激しく暴れたので、近所にまで音と声が聞こえたのだろう、警察に連絡を入れられて、パトカーが飛んできた。

「家族間の諍いですから」

 と親父が説明していたが、警察官から、

「あんまり隣近所に迷惑をかけないように!」

 と、警官に注意を受けて、危うく警察に引っ張られるところだった。両親は傷だらけになり、仕方なく食事だけは俺の部屋の前まで持ってくるようになった。結局二人とも小心者なのだ。当然俺もな。一体何時からこんな男になったのだろう?

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