嫌いな理由

「……なんで僕が士郎くんのことが嫌いなのか、少し話してもいいかい?」と亮介は地面に座る。

「いや、俺がお前を嫌いな理由を話してもいいか?」

「あいつは僕の邪魔ばかりするからだ」


 俺は壁に寄りかかる。


 無視かよ。

 まあいいだろう、聞いてやろう。


「今回もそうだ、僕のセックスランキングトップ五の彼女たちを取りやがった。せっかく紗倉ちゃんを入れた六人と同時に7Pできると思ったのによおおおおお──ッ!! あいつは邪魔をしやがった。紗倉ちゃんを失って自殺すると思ったのによぉ、それどころか……それどころかあああ──ッ」


 地面に倒れ、地面を叩きながら叫ぶ亮介。


 こいつ、狂ってるな。

 いや狂ってるなんて簡単な言葉で表されねえぞこれ。

 霧島さんはこんなやつのどこに惚れたんだ。

 士郎の方が何億倍も惚れる理由があるじゃねえかよ。


「うん、やっぱり僕はやつが嫌いだ。顔を思い浮かべるだけで腹が立ってくる。あいつは無自覚に僕がセックスしようとしている女を惚れさせて無意識にその子を傷つけている、なぜそんな悲しいことをするだあああ──ッ!!」


 頭を抱えもがき出す亮介。

 

「僕なら……僕なら彼女をセフレとして幸せにできるのにいいい!」


 顔か?

 結局は顔で惹かれてしまうのか?

 どこにいいところがあると言うんだ。


 ふらふらと立ち上がる亮介。


「はあはあ……」


 こちらを見ながらニコリと微笑む亮介。


「ふう、だいぶストレスを吐いて気持ちが楽になったよ。なんだかヤりたくなってきたよ、そう修也くん今ここでヤろう」


 俺を優しく包むかのように両手を広げる亮介。


 キッモ。

 やっぱりこいつは狂ってる。

 人間として嫌いだ。


「まあ、嘘だよ。流石にお前を抱く気にはなれない、ケツの気持ちよさはまだ女の子だけで十分だ。叫びすぎて頭が痛いよ、保健室に行くとするよ」

「そのまま死にやがれ」

「ははは、ジョークでもそういうのは言わない方がいいよ」


 さてとどうするか。

 どうすれば霧島さんを士郎な元に取り戻せるか……。

 考えねえとな。



「……どうしたの、亮介くん?」


 実はというと頭が痛いというのは嘘だ。

 どちらかというと股間が大きくなっていて痛い。

 ヤりたいのだ。


 保健室には人の気配がない。

 ベットの仕切りであるカーテンは全て空いている。

 つまり今ここには僕と桜木先生しかいないということだ。


 僕は入り口に『不在中』という看板を貼り付け、鍵を閉める。


「いや、ヤりたくなってね」

「もう、亮介くんは本当に性欲強いんだから」


 上に着ている白衣を脱ぐ桜木先生。


 桜木先生は二十六歳の先生である。

 ガバガバだが歳上プレイナンバーワンだ。


 かっこいいは実に罪だ。

 何をしても許される。

 何をしても好かれる。

 何をしてもいいのだから!


「桜木先生が可愛いからだよ」

「京子って呼んでよ」

「京子……」


 女は顔。

 そんな言葉を聞いたことがあるが、それは違う。

 女は身体だ。

 胸の大きさ、尻の大きさ、締まりの良さ、喘ぎ声。

 全てはこれだ。


 僕は桜木先生と舌と舌を絡め、熱いキスをする。


 結果、一番理想的な女は霧島紗倉だということは認めよう。

 本当は士郎くんを自殺に追い込むために使ったが、なかなかにいいものだった。

 現状一位だ。

 大事に使わなくては。


「……また別の女としたのね。そんな匂いがするわ」

「バレました……」

「本当、若いからってヤりすぎには注意よ!」

「へーい」


 ひとまずだ、今は桜木先生とのセックスを存分に味わうとしよう。

 

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