ワールドカップ・決勝戦(スポーツ)

 まさか、あんなに面白いことになるとは予想もしませんでした!

 いやあ、奇跡のように面白い試合でした。


 今回はきちんと、


「18日の日曜日の夜24時から」


 と呪文のように何回も何回も唱えていたので間違えませんでした。


 昨日は大河はある、M1はある、ワールドカップ決勝はあるで、どういうスケジュールにするか悩みました。日曜日なのでなんとかなりましたが。


 6時から衛星で大河の最終回を見て、その後M1見ながらご飯食べたり用事を済ませてから仮眠。日付が変わる直前に起きてテレビをつけたら、ちょうどアルゼンチンが国家を歌っているところでした。

 続いてフランスが聞き馴染みのある「ラ・マルセイエーズ」を歌って、終わっていよいよキックオフ!


 もちろん決勝も本田の解説狙いでアメバTVで見ました。

  

 試合初っ端から、


「もう今日、アルゼンチン応援していいですかね」


 って、おいおい解説ーと大笑い。でも気持ちは分かる、私もどっちが勝ってもいいと言いつつ、なんとなく心情的にはアルゼンチン寄りでしたので。


 この度のワールドカップはこの名物解説も売りだったなあ。こんな面白い解説、見たことないですよ、今まで。


 そうしてワクワクしながら始まって、どっちも本当にうまいので釘付けになって見てました。

 そして前半も半分が過ぎた頃、メッシのPKでアルゼンチン先制!

 それから10分ほどして、今度はまたアルゼンチンのディマリアがゴール!


 アルゼンチンサポーターも本田も盛り上がってるけど、おいおい、フランスどうした、みたいになんか活気がない。

 そしたら前半がもうちょいで終わるという時に、突然フランスが2名交代。

 こんな時間帯に? ここまで待ったらもう交代の時でよくない?


 そしたら本田がこんな解説を。


「前半のうちから出して試合に慣れさせておくのかも」


 ああ、なるほど。後半になって入ってもそこから試合に慣れるのにもうちょいかかる、少しでも時間を上手に使いたいわけか。

 と、前半終了。


 フランスの動きを見るに、なーんか後半になっても得点できそうにない。このまますんなりアルゼンチンの優勝かなあ。それはそれでメッシに花道を歩かせてあげられるからいいというものの、試合としては面白くないです。


 さて、後半が始まっても流れは同じ。


「なんかつまらん試合になってきたな、寝てもいいかな」

 

 とか思ったのは私だけじゃないと思います。そのぐらいフランスに活気がなかった。

 

 第一、エムバペがここに至るまで一本のシュートも打ってない。いるのかいないのかも分からないぐらいおとなしい。


「フランスの方が疲れが出てるんですかねえ」


 解説の本田がそう言う。


 アルゼンチンは中4日、フランスは中3日、この1日で復調の差が出てるとしたら、こりゃもうますますフランスあかんでー、と思いました。


 と、


「フランスPK!」


 後半も終盤に差し掛かった頃、エムバペがやっとPK決めてフランス1点取り返した。

 と、あっという間に今度は怒涛のように走り込んだエムバペがまた決めて同点!


「ちょっとー延長やめてー明日の朝、病院で検査があるから早いねん!」


 本当に、まじめにそう言ってました。そのぐらい驚くような2点目でした。


 試合としては面白くなってきた。 

 さっきまで押せ押せだったアルゼンチンがなんかしおしおになってる。

 もう寝ようかなと思ってたのがどこかに行ってしまったように目もぱっちり!

 やばい、寝られなかったら明日の検査がー!


 で、延長です。


「このまま延長30分終わってPKかあ」


 そう思ってたら延長戦も後半あとわずかになって、メッシのゴーーーーーーーール!


「メッシ、自分でゴール決めて優勝も決めたあ!」


 すごい!

 いや、これはもうアルゼンチン優勝もぎ取った!


 と思ってたのに、


「なにい、ペナルティエリアでハンドのPKだとおぅ!」


 これはもうほぼ事故、手で触ったわけじゃなく、蹴られたボールが腕に当たってのハンド、うわ、ついてない!


 で、エムバペがPK蹴って3点目入れたあ!

 ハットトリックウウウウウウ!


 いやいや、これ、ワールドカップの決勝ですよ?

 そんなところでハットトリック出る?

 エムバペ半端ないって、そんなんできひんやん、普通!


 ってことで、ああ、この先は運がある方が優勝です。


 その結果、アルゼンチン優勝!

 おめでとうアルゼンチン!

 おめでとうメッシ!

 この決勝戦は本当にメッシのためにあったような試合となりました。


 あまりにくるくるとオセロのようにひっくりかえっていく試合。

 そして続々と記録を更新していく神の子メッシに、その神に真っ向勝負ぶつかってハットトリックまでかましてくれた化け物エムバペ、。

 いやあ、お腹いっぱい満腹です。満足満足大満足。ここまで色んなことがぎゅうぎゅう詰めになった試合、見たことない! ええもん見せてもろた!


 結局、その後の表彰式からアベマの放送の最後まで見てしまい、4時過ぎてから寝ることになりました。


 一夜明けて、朝からちゃんと病院行って、落ち着いた今になって書こうと思ったら、あの時に書きたいと思ってたこと、感じてたことが遠くに飛んでいってしまったみたいで、全然書き足りません。とても表現できません、そのぐらいすごい物を見せてもらったという感じです。


 そんな中で、試合とはちょっとはずれますが、解説の本田を見て思ったことをちょっと書いてみたいと思います。


 延長に入ってからだったかなあ、本田がいきなり、


「ちょっと関係ないこと言っていいですか」


 と、言い出した。


 お、なんだなんだと思ってたら、


「僕、座ってるのに立ちくらみしてきました」


 って、なにを!


 興奮し過ぎて血圧でも上がったか、過呼吸でも起こしたか。なんにしても心配です。

 結局はなんともなかったようでホッとしましたが、プロとして、解説者として、自分に素直に感想を口にしていた本田が、あまりにファン過ぎて頭くらくらしてしまったようです。

 解説者として、本人もできるだけ中立寄りにしようとがんばっていたけど、そこまでアルゼンチンを、メッシを、応援してたんでしょうね。同じファンの立場として胸が熱くなるようでした。


 ところが、全部終わって後の本田、こう言ったんです。


「今は彼らに嫉妬してます。どうして自分はあそこにいないのかと」


 簡単にまとめましたが、そういう趣旨のことを言ったんです。

 解説の席で楽しんでいる自分、ファンとして決勝戦を見ている自分をのことが、プレイヤーとしてピッチに立ってないことが、本当に悔しくてたまらなかったようです。

 これに今度は同じファンではない、プレイヤーとしての本田を見てまた胸が熱くなりました。


「僕もまた帰りますよ、あそこに」


 そうも言ってました。


 本田は今36歳、モドリッチが一つ上の37歳、そして今回で引退するだろうメッシが35歳、ほぼ同年代です。

 今、本田は日本代表ではありません。モドリッチもメッシも現役ですが。


 どういう形になるかは分かりませんが、本当に戻ってほしいと思いました。

 代表時代から、優勝すると言ってはビッグマウスと言われ、ベスト8入りできなかったと言ってはそれ見たことかと叩かれていた本田圭佑という選手の姿を、もう一度ワールドカップで見たい。選手としては無理でも、いつか本田が率いた日本チームが優勝してくれるならそれでもいい。


 今回、日本は本当にぼろかす言われながらもいい試合をして、世界をあっと言わせてきました。

 それでも、この優勝戦みたいな試合を見てみたら、本当にまだまだなんだと痛感せずにはいられません。


「日本がんばった、よくやったよくやった」


 今はメディアで取り上げられてちやほやされて、選手もニコニコしてテレビなんかに出ています。それはそれでいいんです、そういうことも必要です。


 でも、私は、本田が言った言葉、


「今は彼らに嫉妬してます」


 この言葉こそを、日本の選手だけじゃなく、スタッフや関係者、今回ワールドカップに盛り上がった人、元からのサポーターもにわかも関係なく、全員に求めます。

 4年後、8年後、その先、もっともっと上へと上がるために、こう思ってほしい。


「悔しかった」


 と。


「日本の実力はまだまだである」

  

 と。

 

 その痛みを抱えて今日から前へ向かって進んでいけば、きっといつか、メッシが手にしたように日本も夢をつかむことができるんじゃないかと思います。


 でもまあ、今はこう言っておきますか。


「面白い優勝戦をありがとう、面白かったよ!」

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