見えざる魔法のチカラ

テレパシーのように感情を読み、

千里眼のように標的を探り当て、

念動力のように触れずして敵をいなす――

主人公の一人であるクロウが駆使する特殊な力。異世界ファンタジーでありながら、驚くべきことにその力の正体は『香り』です。

花屋の片隅で調香に勤しむクロウは、人並外れた嗅覚と天賦の才による調香技術によって、魔法と見紛う超人的な能力を『香り』にもたらすことが出来るのです。

人が発する体臭やフェロモンから感情を読むのはお手の物。現場に残されたわずかな匂いを辿って追跡をする姿はさながら探偵のようです。
たとえ悪漢に囲まれても、その驚くべき発想力と機転によって絶対絶命の窮地を『香り』の力で打ち破る。
それはまさに、神より授かった祝福の名に相応しい力と言っても過言ではありません。

本作は2万字という短さでありながら、花のように芳醇なドラマと、スパイスのように刺激的な活劇がこれでもかと詰め込まれています。

一つのアイデアを自在に操り多彩な物語を紡いでいく、クロウにも引けを取らない作者の豊かな発想力がいかんなく発揮された一作です。

是非、ご一読ください。
おすすめです。

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