番外編「ラブストーリーを見るのは突然に」

「あっぶなーい。明日怒られちゃーう」

 ピザポテトを口に含みながら廊下を走ってくるのは新井あらい虐野ぎゃくのだ。先生にバレないように、消音のフォアフット走法で走る。どうやら明日提出の課題を持ち帰り忘れていたようだ。

 新井は二年C組に入ろうと左に曲がる。すると目に飛び込んできたのは……。

「平良よ。……カフェに行……」

「はい」

 なんと二人きりで対面して座っている御堂地と平良だった。しかもなんか、カフェに行くとか、言っているような気がしないでもないこともナッシングではないか! 平良も平良で受け入れちゃってんじゃん……!

 新井は廊下の教室から離れた窓を思わず開いて、こう叫んだ。

「運命の人とぶつかれると思ってたのに……既にデキてるやつに会ってもなにも嬉しくねぇんだよぉー!!!」

 明日、新井はしっかりと課題を忘れて、御堂地にしこたま怒られたとさ。

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