2. 根拠の求め方

 自分の意見や考えを述べるとき、そこには「根拠」が必要だ。


 では、その「根拠」とはどうやって作ればいいのだろう?


 しかしそのまえに、根拠とは何か?を語ろう。


 結論から言うと、「根拠」とは推論の結果から生まれるもの、だ。


 根拠とは推論の結果として生まれる。

 つまり先に推測、推論がある、ではそれは一体如何なるものか?


 これらに関しては古典時代の哲学者たちが既に語り尽くしている。

 詳しく知りたいものは、「三段論法」のうち「命題の型」を調べてほしい。

「推測の確かさとは?」内で行われている説明は意図的に不正確な説明となっているからだ。


 非常に平たく述べると、推論とは「AだからB」という型そのものを指す。この型を使って思考する行為を「論証」という。


 野獣先輩○○説でよく用いられる型なので存じ上げている者も多いだろう。


 これらの型には確実性に基づいた2種類がある。


「推測」――それ以外の可能性があり、確実性が低い


「演繹」――それ以外の可能性は絶対にない、確実なもの。


 寿司桶のなかに稲荷が無いやん――?

 稲荷はどこに消えたのか?最初からなかったかもしれないし、宅配している男が食ったのかもしれない。


 いくつもの仮説が生まれる。これが「推測」だ。


「推測」は不確かだ。


 その為、作品の登場人物には「より強い証拠」を段階的に与える。すると推測が外れる可能性は小さくなっていき、「説得力」が生まれる。


 重要な事、仲間の絆や家族の命にかかわる問題には「より強い証拠」が必要だ。


 黒塗りの高級車にぶつかったなら、それはもう間違いなく強い証拠だ。


 主人公の体験は確実なものであり、間違いようのない確実な証拠となる。


 そして人は確かな物、信じるに足ることを追い求め続ける特性がある。

 謎をひも解く瞬間に快楽を得て、読者の感覚の飢えを満たすことができる。


 小説は「AとはB」という構造を通じて、言葉という最小の単位でそれを行える。

 早く、鋭く、強く届けられる。


 これは小説という表現方法が、他の表現に対して持つ優位性の一つだ。

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