第5話 よくあるあの展開

「おい出てこい。」

「大人しく出たほうが身のためですよ。」


やはりバレてしまったか...仕方ない...


(近藤さんとりあえずロッカーから出よう。)

(...ごめんこーくん)


どうしたんだ近藤さん、もう嫌な予感しかしない。」


(ロッカーが開かない...)

(嘘だろ!?)


「おい、出てこいよ。」

「そうだそうだー」


出ていきたいがハプニングが起きてしまった。何だこのロッカー、ラノベによくある男女で入ると開かなくなるロッカーか?


(こーくん、外にいる人に開けてもらえるように頼む?)

(なんかやだなそれ)

(開かないならしょうがない)


「お、おいなぜ出てこないんだよ!」

「兄貴もしかして...」

「!そういうことか...!」

「それじゃあ、邪魔者は消えるぜ邪魔したな。」


嘘だろ!?帰るのはまずい!


「外にいる二人ー!!助けてー!!」

「かなかなはこのままでいいのに...」

「どうします兄貴?」

「どうするか...」


なんでそこで「どうするか...」って台詞が出るんだよ!!素直に助けてくれよ!!


「大丈夫ですよー!先に帰ってて下さーい!」

「おうそうかじゃあ帰るか。」

「そうですねーお二人さんあとはごゆっくりー」

「ちょまって!!」


ああ行ってしまった...ここからどうすればいいんだよ!!


「...二人っきりだね。」

「...そうだね。」

「どうしようか?」

「助けを呼んでくれ。」

「もう少ししたらね。」


もう考えるのやめよう。あーキョウハイイテンキダナー


「さてと、こういうときって何すればいいと思う?」

「ごめんこういう展開あったことないからわかんない。」

「イチャイチャしようか。」

「嫌です。」

「えーいいじゃーん、こんな美少女とイチャイチャできるの今回で最後かもしれないよ?本当にいいの?」

「これで最後とはならないだろう...たぶん...」

「ちょっと自信なさげじゃん。」


いいもんいいもんおじさんには妹と麻莉奈さんがいるもんだから大丈夫だもん...

...ぐす、イチャイチャしなくても大丈夫だもん...


「ごめんねこーくんさっきのは流石に言い過ぎた...」

「...うんちょっと泣きそうになった...」

「後でなんか買ってあげるから元気だしてー」


そろそろここから脱出したいのだがどう出ればいいのか思いつかない。

...そうだ!こんな時こそ妹か麻莉奈さんのどっちかに電話をすればいいのか!


「それじゃあ早速電話を...って」

「どうしたの?」

「充電がない...」

「じゃあ...出れないってこと?」

「そういうことになるね...」


こんな時に充電がないんですよー、なぁにぃ?やっちまったなぁ〜

というわけでものすごいピンチです。たーすーけーてー誰かー

おや?近藤さんの様子が...?


「...ねえこーくん。」

「...何か会ったの?」

「...今すごくお花摘みに行きたいの...」

「...」


わーお


「...ちなみにいつから?」

「...ロッカーに隠れたときにちょっと...」

「絶体絶命のピンチじゃねーか!?」

「だ、大丈夫だよー...たぶん...」


もうここからはゴリ押しで開ける。それしか方法がない。


「急いで開けるしかないみたいだね。」

「...うん。」

「それじゃあ行くぞ!」


ロッカーの扉を思いっきり押した。何か引っかかっていて開けづらいがこのまま行くと開けれるかもしれない!


「うおぉぉぉ!!!おりゃぁぁぁ!!開けぇぇぇ!!!」

「すごい...!後少しだよ!」

「ぬあぁぁぁ!!!


外の光が漏れ出してきた!後少しだ!!


「開いた!!」

「やったー!!やっとお花摘みに行ける!」


こうしてロッカーは開き近藤さんは無事お花摘みに行けたようだ。

めでたしめでたし...


しかし、あの二人は誰だったんだろう...?


「兄さんボーッとしてるけど何か会ったの?」

「...あ、なんでもないよ。」

「そっか最近兄さんがぼーっとしてる回数が多いんだよね。」

「...そうなんだ。」


最近ある考え事ができ、様々なことに集中できないのだ。学校に忍び込んできたのは誰なのか、近藤さんと昔会ったことが会ったかなどということがずっと頭の中にある。


「兄さん。」

「どうした?」

「何か悩んでいることがあるの?」


この事は誰かに相談したほうがいいのか迷ってしまう。だけどよく考えたら迷うこともないじゃないか。


「実はな...」

「...そんなことがあったんだ。でもクリームアイスティーのために学校に忍び込むのは流石にやりすぎでは...」

「クリームアイスティーってそんなに人気のなのか?」

「クリームアイスティーは10代くらいの女子に人気でみんなそればっかり飲んでいるくらい人気があるんだよ。最近まではそんな人気ではなかったけどインフルエンサーによって話題になった飲み物なんだよ。しかも、色んな味があるから誰でも楽しめるっていうのも人気の秘密らしいんだ。」

「結構詳しいんだな。」

「友達に長々と説明されてきたから。」

「そ、それはご愁傷様です...」


茜も大変なんだと思った今日このごろ

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