第5話 妹襲来

川上くんの家にお邪魔して1週間過ぎた。おじさんの家に妹が来るのだ。

おじさんは妹が来る前に掃除をしておく。色々のところ物色されたら困るからね。

普段は掃除しないテレビの裏、ベッドの下、クローゼットを整理する。普段掃除しない場所にはナニモナイデスヨ、ケッシテナニカカクソウトハオモッテナイヨ。


妹は今日は泊まりに来て明後日帰ると母さんが言っていた。妹は家事があまりできない、そのため、一人暮らしするとなるととても苦労するのでお試しでおじさんの家に来て、大丈夫かどうか判断しておじさんと一緒に住むか決めるという。


ピンポーン、と玄関から聞こえておじさんはドアを開けるとそこには今どきの高校生のような可愛い格好をした中学生の妹が立っていた。


「やあやあ、兄さん来たよ。」

「おう、いらっしゃい茜。」

「へえ、きれいにしてあるね。もしかしてわたしに見せたくないものでもあったのかな?よし、私がちゃんとチェックしてあげるね。」

「ふん、探せるものなら探してみろ。今日は絶対に見つからないからな。」

「自信満々じゃん。兄さんがどのくらい成長したか楽しみだよ。」


こいつがおじさんの妹の茜。中学3年で、来年から高校生だ。身内贔屓かもしれないかもしれないが結構可愛い方だと思う。そしてこの妹おじさんの禁書を毎回探し出すというこれからの人生一番必要ない能力を持っている。


「兄さん、友達できた?」

「できたけどどうした?」

「もしかして、兄さんの友達に女性がいるの?」

「いるが、二人いるけど?」

「なにぃ!?兄さんに女の子の友だちがいるとは...兄さんも成長したんだね。」

「茜、なんで泣いてるの?なんかすごく怖いんだけど」


もしかしておじさんに友だちができてそれにプラスして女友達もできたことに感動しているのだろうか。流石に舐めすぎじゃないですか?おじさんは本気を出せば、友達はいくらでもできるし?中学の時は友達を作る気にならなかったから作らなかっただけですけど?


「さあ、兄さん今日はわたしと遊ぼうか。何して遊ぶ?兄さんの友達に合ってみたいな。ということで、会いに行こう!」

「ちょっと待て!連絡とかしないと流石に迷惑だから!」

「じゃあ早く連絡しようよ!兄さんの携帯借りるね。」


妹に携帯を奪われてしまった。妹よ、強引すぎじゃないか?


「よし、じゃあ川上っていう人に連絡してっと。」

「一旦返して携帯。」

「嫌だね。わたしは兄さんの友達が気になって夜しか眠れない。」

「健康的じゃないか、ずっと気になっていたほうがいいんじゃないか。」

「というわけで川上って人に電話をかけますイエーイ。」


川上くんに電話をかける。2コール目には繋がったようだ。


『どうしたの松本くん?』

「俺だよ俺俺。」

『オレオレ詐欺か。警察は何番だったっけ。』

「ああ!ごめんなさい、松本です!」

『でも、松本くんは男だからこんなに声が高いわけがない』

「妹!妹なの!」

『妹さんか。でどうしたの?松本くんに何かあったの?』

「兄さんが『川上くんに会いたい』って言ってたから電話をかけました」

『それなら、姉に変わるね。姉ちゃん電話だよー』

『はい、もしもし。麻莉奈です〜』

「兄さん、この女誰よ!兄さんは私だけ愛してくれるって言ってたじゃない!」

「川上くんのお姉さんだよ!あと後半は言ってない!」

『え、松本くんもしかして浮気?この私がいながら?もうこれは拉致るしかないじゃない...』

「落ち着いてください!浮気の前に私たち付き合ってないですよね!?」

『松本くんは私のこと好きって言ってくれたじゃない!』


ああ、もうカオスだ。麻莉奈さんはメダパニ中、妹は笑っているし、もう意味がわからない。


『とりあえず、松本くんの家に向かうね。そのときに事情を教えてね?』

「わかりました。待ってるんで。」


電話を切ってため息を付いた。


「兄さん大変なことになったね。どんまい!」

「大事にしたの君だよね?おい!目をそらすな!」

「松本く〜ん、来たよ〜」

「とりあえず出てくるから大人しく待ってろよ、何もするなよ。」

「え〜、わたしも一緒に出た〜い。」


妹が大人しく待っているとは思えない。とても心配である。

この時、おじさんは間違っていた。

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