第3幕 嗚呼、伝説の松千代神社
夢野
しかし彼にはそんな時間的余裕はなかった。手っ取り早くムキムキになってしまわなければ、僕の天使が番長に奪われてしまう! その思いで頭の中はいっぱいだったのだ。
何でもいいから先人の知恵はないかと、先祖代々受け継がれてきた綾小路家の書庫を漁っていると……まさかまさか、今まさに仲麻呂が求めているのにぴったりな文献を見つけてしまったのだ。
戦国時代、この地を納めていた武将である「
夢見丘市の中心から電車で約三十分ほど。
隣町に入ってすぐのところに、
彼は、文献に書かれていた通りに「
そして本殿の前に着いたとき、仲麻呂はピリピリとした緊張感を味わった。ここには確かに何かいる。おそらくそれは文献にあった「
胸ポケットから「
「松千代の始祖であり神、
すると、どこからともなく声が聞こえてきた。仲麻呂はびっくりしつつも、目で声の聞こえてくる方を追う。スピーカーがどこかに隠されているのかと思ったが、それらしきものは見当たらなかった。もしかして、本当に神様の声なのだろうか……? 興奮と少しの恐れが入り混じった表情で、彼は声に耳を済ませた。
「私の眠りを起こすのはお前か?」
「はい、
「ほう、私の名を知っているか……。であれば私の欲するものが何か、わかっておろう」
「もちろんです。
仲麻呂はそう言って、
「ははははは! まさしくこれは
「う、うわああぁぁぁっ!」
目の前で強い光が輝き、仲麻呂はそこで意識がなくなった。
次に彼が目を覚ましたとき、そこは暗くて人通りが全くといっていいほどない、ただの歩道だった。「あれ?
「夢……だったのか?」
ゆっくりと起き上がると、仲麻呂は自分の体の異変に気づいた。着ていた洋服がタンクトップに変わっている……! そして、信じられないくらいムキムキの姿になっていたのだった。
「夢……じゃなかったのだ! 僕は……僕はついに
心の中に少しだけモヤッとした違和感を感じたものの、仲麻呂は筋肉がついたことが嬉しくてあまり気に留めなかった。そして彼はそのまま家路に着いた。
<作者注>
今回の松千代神社の作成にあたりましては、宇部松清さん作「魔法少女マッシヴ★チョコリーナ 〜何をしても痩せなかった私がこの方法で痩せました!〜」https://kakuyomu.jp/works/16816927859804849855
を参考にさせていただきました。主人公の女の子が松渋千代子なんです。
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