生まれ変わっても貴方のおそばで

Rod-ルーズ

第1話 生まれ変わった主従

私はあの人に心中お仕えした。

10も違う年齢で、成長を身近に見てきたと思う。

殻にこもり暗い時代を生きてきた貴方、目をえぐりとったことで本来の貴方は生まれ出てきた。

そして主君になり、私だけでなく何千人の民の主となった。


『貴方様のこの成長を見届けることができて良かった・・・』


そうして世界が真っ白くなる。きっと天国にでも到着したのだろう、



また次の来世出会えることができたらその時は・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


「んー…もう、朝か」


朝と言ってもまだ日は完全に登っていない。朝5時なのだ、私はまだその肌寒い薄暗い夜に着替えてランニングに出掛けていった。


「まだみんな寝ているんだよな…」


自分の上がっていく吐息のみが聞こえる、私はこの時間が好きだ。昔とは違ってだいぶ喧騒喧しい時代で鎮まり帰る時間帯といえばこの時間帯しかない。


「よし、あともうちょっと…」


速度の落ちた足を加速させまだ少し肌寒い明け方を走っていった。きっと主(彼女)はまだ夢の中にいることだろう


30分の日課である朝のランニングを終えシャワーを浴びた後、朝食の準備に取り掛かる。住み込みで許されている家でここまで自由に動いていいのかと思ってしまうが、ここの家主と父同士の関係が硬いものを取っ払ったのだろう。


「よし、こんな感じでいいかな。とりあえず人数分は確保できた。って、もう6時になるのか…」


もうすぐ叔父さんたちが起きてくる、あの人たちの朝はいつも早いので、一番で起きる私の朝食の匂いにつられて起きてくるのがほとんどだ。


(ご飯はとりあえずできたことだし、起こしに行くか)


月の模様が入ったエプロンを外して二階の階段を上がる、途中寝起きの叔父さんと鉢合わせし軽く挨拶をした。

彼は苦笑しつついつも通り頭をなでてくれる


「いつもありがとね、灯ちゃん」


「もう慣れましたよ、ルーティーンみたいなものなので気にしないでください」


朝ごはんはいつでも食べられることを伝え、一番奥の部屋の扉をノックする。

コンコンと聞こえるぐらいの後でするも返事はない。まぁ、これだけで起きてきたためしがないのだから期待はしていなかった。

仕方なくドアを開けて部屋に入る。枕元にあるスマホを見ると目覚ましを止めた形跡があるので概ね二度寝中だろう。

すやすやと寝息と立てている部屋の主には悪いが、支度も遅くなって遅刻ギリギリになってしまう。

私は一息、ため息をついて布団をめくっていった。そこにいたピンクのパジャマを着た金髪の小柄な少女が膝を抱えて眠っていた


「ほら、朝だよ。ご飯できているから起きて」



「んー…灯(あかり)…おはよう……」



「はぁ〜……ほら朝だよ葵、さっさと起きて」



私の1日の中で1番な仕事。それは眠りまなこで船を漕ぐ伊達葵という主を起こすこと


そう、彼女こそが伊達政宗にして伊達葵。

私、片倉小十郎こと片倉灯の第二の性で使えることになった主である

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