令嬢と小姑(男)のあれこれ

相澤

プロローグ ある終わり

 怒りなのか嫌悪なのかで歪んだ顔を見た。


 今までに感じたことのない激しい痛みに胸を押さえた。


 立っていられずにその場に倒れこむようにしゃがむ。

 胸が、喉が、全てが苦しい。


 生温かい感触を手に感じ、自分から血が溢れたのだと知った。


 痛みと苦しさに、起きていられずに倒れた。


 咄嗟に癒やしの魔法をかけたが効果がない。

 最初は感じた痛みも、感覚も段々と薄れていく。


 意識も段々と遠のいていく。


 最初は聞こえていた声が、音が、どんどん遠ざかっていき、今はもう何も聞こえない。


 助けて! いや、もういいか。


 静寂が支配する。


 その時、誰かがギュッと手を握ってくれた気がする。


 誰だろう……


 ああ、でもこの手が、


 ……だったら、


 最後に、せめて……


 温もり、を、感じたかっ……

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