第3話 すれ違い

俺は歌が上手かった。君は一緒にカラオケに行こうと言った。


一人で歌いたいんだ。君は勝手についてきた。


がらんどうの店、俺は一人で入った。君はわざわざ別室に入った。


しばらく何も歌わなかった。飲み物を取りに行った。


個室で君は何も歌っていなかった。ただ目を閉じていた。


俺はラブソングを歌った。出せるだけの大きな声で。


君の部屋へと俺は向かった。もうそこに君はいない。


お前が嫌いだ。隣の部屋から大きな声が響いていた。

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