へそ出しルック

「おはよう、黒川!」

「おはようございます、青山先生。広瀬先生はどうかされましたか?」


 教室に入ろうとしたら、入り口で副担任の青山先生に捕まった。


「広瀬先生は体調不良で二、三日休まれる。その間、私が代理を務める。お手柔らかに頼むぞ!ところで黒川、両手を上にあげてみてくれないか?」


 唐突な発言に戸惑いながらも両手を上にあげる。


「やっぱりな。黒川、その格好は――」

「校則違反ではないはずですよ?校則は指定された制服を着用する事としか書かれていないはず――」

「ああ、校則違反ではないのは知ってる。俺が言いたいのはそのへそだよ。へそ出しも校則で禁止されていないけど、その腹筋バキバキのへそ周り見せるのは相手に違和感しか与えないぞ」


 言われてみると身長は同じ位でも響より肩幅がある分だけ裾が足りていなかった。腕を上にあげるとつられて服が持ちあがりおへそが現れ"こんにちは"する。


「その服装の時はあまり腕を上にあげるな。それを伝えたかっただけだ。ホームルームを始めるぞ、早く教室に入れ」


 振り返ると響はうんうんとうなづいていた。知ってて黙ってたようだ。

 歩き方の講習受けてる場合じゃなかったよ。誰得なの?教えて欲しい。

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