(つがい)

玲瓏透徹

第1話 死の先にあるのは?

ガキの頃は人生勝ち組だと思ってた。そんな妄想に現実が殴り込みをかけたのは、いつの事だろうか。「はは、変なことを考えるもんだ。」あんまり、自分のやってる事と考えてることが違いすぎいて乾いた笑いが出てくる。俺は今縄を持っている、数分後に自分の首を締め上げることになる縄をだ。Fラン大学に入学してから、ブラック企業に入って、鬱になって、、後はご想像の通りだ。俺は今から死ぬ。だけど俺は最後に黙って死にたくはない、最後にこの世界、俺を受け入れられなかったこの世界に不平不満をぶちまけてから死んでやる。紐をカーテンのレールに結び、胸のポケットに遺書を入れ、脚立の上に立ち、紐の輪っかに頭をくぐらせた。脳裏を今朝の新聞の死刑執行のニュースがよぎる。「俺は人殺してないのにな、」こんな時に限って近くの公園で遊んでるガキの声が聞こえてくる。最後にガキ共に中指を立て、背を向けて飛び降りた。





さほど苦しくなかった、ふわふわしてるような気分で心地よささえ感じるくらいだ。死とは対極にあるような感覚、「早く意識を失っちまいたい」とも願った。

どのくらいたっただろうか、俺は意識が自分の体を捕まえたことを悟った。これは何事だ?まさか近所のおばさんが救急車で病院に連れてったとか?勘弁してくれ、自殺未遂なんてサイテーにダセーじゃねーか。恐る恐る目を開いた、、、

目を開いた俺を迎えたのは、、俺自身だった。






つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る