農道を走る

そういう風なことがしたくて

夕日が見える時間

小さな川の横を走った二人

どこまでも行けるふりをしながら

道がなくなるのを知っていた


高校になると

それぞれの夢を追って

遠くに行かなければならなかった二人

たどり着けるふりをしながら

大した夢でもなかった


いつか故郷で

あの日の続きを

走れるかもしれないと思った二人

輝かしい影は

薄くなっていくばかりだったのに


別々の町の

広すぎる道を

信号待ちで渡れない二人

少し振り返れば

戻れることを知らないまま

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る