第6話 俺はとある復讐方法を思いつく
どうやら俺は二時間もの間自分のステータス欄を眺めていたようである。
正直いって今の俺のステータス欄は何時間見たって飽きないし、何日だって見てられる。
そんなステータスを眺めていたのである。
二時間なんてあっという間であろう。
そして弟の下品な笑い声が聞こえてきたという事は今から朝食の時間という事なのであろう。
どうする。
朝食ということは間違いなく家族が、両親と弟がダイニングに集まるという事でもある。
ならばこのステータスの暴力で今までの鬱憤を晴らすのも良いかもしれない。
今まで格下だと思ってきて罵倒してきた相手にボコボコにされるのは、それはそれで屈辱的な事であろう。
もう屈辱に耐えて相手が飽きるまで凌ぐ必要もないのである。
そう思いドアノブへ手をかけたその時、俺は思う。
本当に今まで受けてきた屈辱をこの一瞬で済ませるのか? もっと他に方法はないのか? と。
確かにいま俺がアイツらへ今までの鬱憤を晴らしにいけばそれはそれは楽しい時間になるだろうし家族、特に弟のプライドはズタズタになる筈である。
しかし、言い方を変えればそれだけであり、プライドが折れる以外のデメリットは被らない上に、その楽しい時間は一瞬で終わってしまう。
どうせならばその楽しい時間は長く、そしてより大きなダメージを与えた方がすっきりするだろう。
そして俺はとある復讐方法を思いつくと、そっとドアノブにかけている手を離す。
確か、明日の休日は弟が公爵家を継ぐお披露目会として日の高いうちからこの家の庭でパーティーが開かれるはずである。
そして段取りとしては俺がそこで弟と模擬戦をして、弟が勝つことによって公爵家を継ぐものとして兄である俺ではなく弟の方がふさわしいというパフォーマンスがなされる予定である。
勿論俺は当初、そんなパフォーマンスに付き合うつもりなんか初めは無かったのだが、父親であるエドワードから『この模擬戦で勝った方を後継者として選ぶ。 勿論お前が勝てばお前が公爵家である我が家クヴィスト家の正式な後継者となるのだ。 出来損ないのお前にとってまたとないチャンスであろう? 出来損ないのお前にここまで手を差し伸べてやっているのだから欠席など馬鹿な考えはするなよ?』とまるで野良犬でも見るかのような目で心にもない事を言われたのだから折角だし出てやるとしよう。
そもそも弟には大金を叩いて買った魔杖や細身の剣を与えて、俺には幼児向けの魔杖に木刀しか与えないで父親の言葉が嘘であることが分かる。
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