現実と夢のあいだから

大きく曲がった木の根もと近くからこちらを見ている黒い猫。
菱田春草の「黒き猫」(永青文庫蔵)はふしぎな絵です。
とても丹念に、写実的に描かれているのに、夢のような虚構感に満ちていて、どこか別のしずかな世界に誘われそうな印象があります。
この春草の「畢生」の作がどうやって生まれたのか?
この作品は、それを、史実に基づきながら、鮮やかに描き出しています。