1986年某国にて集団自殺が起きた。

 とある新興宗教団体が所有していたビルの屋上で信者達が集まり、同日正午にそこで爆散した。

 激しい轟音と共に信者達の肉片が路上へと降り注いだ。生首や骨がむき出しになっていたそれらは、爆音を聞いて伏せていた通行人に降り注いだそうだ。

 死者数不明。少なくとも80名以上が亡くなり、重症者15名に上ったその事件には生き残った信者がいた。

 いざ事を行おうとして屋上へと向かっていくその時に、臆病風に吹かれて3階のトイレに隠れ潜んだらしい。

 警察に保護された彼は胴体に爆弾を巻いていた。簡易な起爆装置を大事に握り締めていた彼は、抵抗することなく、警察の指示に従い体に巻かれた爆弾は除去された。

 その彼曰く、信仰の最終段階として爆死する必要があったらしい。天へと魂を登らせるためには爆風が必要なのだ、と教祖が言っていたと供述した。

 彼はそれから夢にうなされた。共に過ごした信者達が、毎晩夢の中へ出て来たそうだ。とても幸せそうな彼らの姿を毎日見ていた彼は、自殺した。首吊り自殺であったらしい。

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