知らない世界への扉を開くように、ページをめくる手がワクワクする

黒猫と旅人が今いる世界から飛び出し旅をする物語。

旅の途中に出てくる町はどれも幻想的で、個性的で、美しいです。
しかし、すべてが「楽しい」わけではありません。
それは私たちが生きてきた人生と同じように、辛いこと、悲しいこと、嬉しいことを旅人が知っていく町。

そして旅をする町で知っていく感情を「うれしい」「かなしい」などの単語を使わず紡ぎだす作者様の言葉がとても素敵。
何重にもかさなった気持ちを一つ一つ解き、複雑に絡まった気持ちを表す文章に見惚れました。

感情なんてない方が楽かもしれない、でも感情があるから世界が彩る。
こんなにも綺麗にうつる。
そう思わせてくれる物語です。

「12月のラピスラズリ」は一冊の絵本から物語が始まりますが、この小説もまるで色鮮やかな絵本をめくるように、
ワクワクとしたときめきをもってページをめくる感覚で楽しめます。

ぜひ黒猫と旅人と、未知なる世界への旅へでてみませんか?
その先にはきっとそれぞれ違う景色を見られるはずです。

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