第2話 初手全裸土下座配信&鼓膜破壊RTA世界記録到達配信まとめ(神絵師もいるよ)その一

 ピンポンパンポーン


 この切り抜きは本人からの許可を得て制作しています(初手音量注意)



 そんな字幕と共に。その切り抜き動画が始まった。






『待機』

『待機』

『お?』

『始まるか?』



 突如として画面が変わり。右側にコメントが。そして、画面の左の方に、白髪でかなり美形な青年の絵が現れた。



 真っ白な髪に、ほっそりとした頬。しかし、痩せているという訳ではなく。美形、と言った方が良いだろう。


 その顔が動き始め。顔を動かし、笑顔を見せたり怖がったりと表情が切り替わる。


『可愛い』『表情の表現凄い』『楽しそう』『ママが雨崎さんなだけあるわ』


 かと思えば。表情がスッと真顔に切り替わり。














「も゛う゛し゛わ゛け゛あ゛り゛ま゛せ゛ん゛て゛し゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああああああああああ(音量は十分の一にしています)」


 唐突にそう叫び始めた。気が狂ってるのかこいつは。


『ア゛ッ(絶命)』

『鼓膜くんないなった……』

『!?』

『鼓膜破壊RTA助かる』

『たすからないが???』


 コメントの一部は驚きを見せない。さすが、他の配信者の所で訓練されている。


「配゛信゛遅゛れ゛て゛申゛し゛訳゛あ゛り゛ま゛せ゛ん゛て゛し゛(カ゛ッ゛ト゛)


 あ、カットされた。というか二言目も叫んでんのかこいつ。頭おかしいのか。いやおかしいな。


『予備の鼓膜くん……お空でも元気でね』

『え? 今何か話してた?』

『配信の隣に耳鼻科を併設しろ』

『鼓膜破壊RTAマラソン助かる』

『話す度に鼓膜を破壊しないといけない呪いでも受けてる???』



 そして。唐突に画面が切り替わり、一枚の画像が写し出された。


 それは。彼が全裸で土下座をしている絵だ。右下に

 ※実際に全裸土下座をしています

 と書かれている。


『雨崎さん!?』

『この短時間で仕上げたの!?』

『神絵師の無駄遣いで草』

『ケツ写せこら』


「本当にまじで申し訳ない。機材がトラブってしまったんです」


『ええんやで』

『初めてだししゃーない』

『そういえば神絵師ちゃん居るの?』


「あ、居るよ。隣でコメントとか見てました。遅れてごめんなさい。私が機材の扱いに慣れてなくて遅れてしまいました」


『美少女ボイスッッ!?』

『え? え? 全裸変態土下座男の隣に美少女神絵師!?』

『てかまじで女性だったんか』

『ええんやで』


 絵師『雨崎瑠花あめざきるか』が出てきた瞬間、コメントが沸いた。


「『え?本当にカイリは全裸なの?』ってコメントがあったけど。ほんとだよ。あ、右のおしりにほくろある」

「なにバラしてんの!?」


『!?!?!?』

『くぁw背drftgyふじこlp;@:「」』

『そこ代われ神絵師』

『ちょこちょこケツ狙ってるの沸いてんな』

『美少女に裸で土下座させられるとか前世どれだけ徳積んでんの?』


「予想していたがお前らド変態しかいねえな!?」


 そのコメントを見た青年は目を見開いて叫ぶ。しかし、コメント欄にダメージは入らない。


『ありがとうございますッッ!』

『ネットにマトモな奴がいる訳ねえだろ』

『メッセージは削除されました』

『ケツ見せろニキBANされてて草』


 それどころか喜ぶ者も。そうしてやっと。土下座が解かれた。


「って寒っ……服どこ置いたっけ」

「あ、今洗濯してるよ」

「なんで? なんでその選択をした?」

「……? 洗濯は洗濯しかないでしょ?」

「日本語って難しい……」


『あれ? もしかして夫婦だったりする?』

『【悲報】神絵師雨崎瑠璃、彼氏持ちだった』


「違いますからね!? 恋人関係とかではありませんからね!?」

「ひ、ひどい! あんなにいっぱいびゅっびゅしてくれたじゃない!」

「ひょっとして。小さい頃水鉄砲で遊んだ時のこと言ってる?」

「あ、よくわかったね」


『幼馴染キタ━(゚∀゚)━!』

『言葉回し卑猥すぎて草』

『おいちゃんともぴゅっぴゅ水鉄砲しようや……』

『ケツニキ二代目来て草』

『というかここまで一回も自己紹介無いの初見に厳しくて草』

『全員初見やろがい』


 そのコメントを見たのか。彼女はあっと声を漏らした。


「そういえば自己紹介まだだよ、カイリ」

「あっ……」


『あっ……』

『お前ら耳ィ塞げェ!』

『来るぞ!!!』

『耳栓、耳栓どこ……』


「申゛し゛訳゛あ゛(カット)


「こほん。それでは改めて。俺はカイリ・ホワイトと言う。十六歳だ」


『こほん。それでは改めて。俺はカイリ・ホワイトと言う。十六歳だ』

『字幕ニキ助かる』

『五感が四感になったけどこれなら問題ないね』

『イヤホンの上から耳栓しようとして鼓膜ないなった……』


 そして、青年の目が隣へ向いた。画面には写っていないが、そこに彼女が居るのだろう。


「あ、私は雨崎瑠花あめざきるかだよ」


『知ってる』

『なんなら瑠花ちゃん目当てで来た。とんでもない逸材見れたから感謝』

『カイリきゅんのドスケベイラストまだですか?』


「あ、カイリのR18イラストは支援サイトに上げてるから」

「え? 初耳なんだけど? てかガチで言ってんの? 本人の目の前だよ?」

「う、うん。……瑠花との赤ちゃんプレイ4コマとかも上げてるから気になった方は概要欄から、ね?」

「何してんの?」


『最高額プラン入りました』

『……ふぅ。カイリきゅんえっちでした。次回も待ってます』

『早すぎて草』

『え……お前らなんの幻覚見てんの?』


「前代未聞だよ? 初配信で公式がエロい絵を供給するの」

「……文句があるなら次はカイリの尊厳破壊アナ「すみませんでした文句はありません」」


『あ、知ってる。これえっちな本で見た展開だよ』

『これを脅しに現実でエロい事されるんですね分かります』

『#現実の方でもエロい事されろカイリ・ホワイト』


「……まあ支援サイトは嘘なんだけど。でも需要には答えないとね」

「おいやめろ服を脱ごうとするな尻を揉むなムッツリ半狂乱絵師が」

「半狂乱じゃないし! ツンデレだし!」


『何このカオス空間』

『自称ツンデレママ……』

『ツンはどこ……ここ?』

『誰もエロい事になりそうな展開にツッコまないの草』


「それよりほら、早く次行かないと。台本読んで」

「あ、ああ。そうだな。『尻を揉まれながらで恐縮ではありますが』っていつの間に台本持ってきてたんだよ。尻を揉まれながら恐縮がるな」


『草』

『俺もカイリきゅんのおしりもみもみしたい』

『草』


「……ったく。早く手を離せ」

「も、もう、しょうがないな」

「しょうがあるわ。……次行くぞ」


 そうして画面が切り替わる。自己紹介カードのような物に好きな物などが書かれてある。


「えっ、こわっ。俺こんなの書いてないんだけど」

「あ、忙しそうだったから私が書いておいてあげたよ」

「いや俺に書かせてくれよ。……まあ、大体合って……」


 その時。彼の目がとある部分に止まった。コメントもざわついている。


『お、おい、あれって……』

『把握されてるの草』

『高校生君さあ……』



【最近買ったえっちな本:メスガキ幼馴染を理解らせる】

【好きなジャンル:純愛 苦手なジャンル:NTR スワッピング】


『ちゃんと高校生らしいの草』

『NTRはいいぞぉ……』

『もう脳破壊されてる奴居るやんけ』

『君とはいい酒が飲めそうだ……』

『だから高校生言うとるやろがい』


「お、おまっ……なんで知って……」

「……? 幼馴染兼息子の性癖を理解するのが私の役目じゃないの?」


『気づいたら本棚がジャンル毎に整理されてる奴やんけ』

『やめろ。その言葉は俺に効く』

『たかしー? ベッドの下にあった本ちゃんと片付けなきゃダメよ?』

『やめろ!』


「やめろおおおおおおおおお! 俺の古傷を抉るなああああああああ」(音量十分の一調整)


『うあああああああああああ! 耳があああああああああ!』

『たかし謝罪しろ』

『たかし君さぁ……』

『たかし君風評被害やんけ』


「は、はぁ……危ない。瑠花にエロ本の隠し場所全部把握されてた時の事思い出しそうになった」

「あのメイドさんとイチャイチャする本とか褐色ギャルに搾り取られる本の事?」

「うああああああああああああああああ!」


『イヤホン遠ざけてもしっかり聞こえるの草』

『明日ご近所さんに謝罪廻りしなきゃ……』

『褐色ギャル好きは分かってるやん』

『というかなんで今いきなり自爆したの……?』


 かと思えば。画面に映っている彼は顔をキリッとし始めた。


「……よし、話を切り替えよう。日本の情勢について話すか」


『消される消されるwwww』

『情緒ぶっ壊れてんなこいつ』

『切り替え早すぎる』

『というか自己紹介読み上げないの斬新すぎて草』


 そうしてまた画面が切り替わった。


「さて。現在の日本は円安が進んでおり」


『ガチで話し始めようとして草』

『やめろやめろ消されるぞwww』

『Vで政治と宗教関係の話はNG定期』


「という事で止めてあげたよ、ちゃんと感謝してよね!」

「んぐー!」


『ママ助かる』

『……待て。今、何で口止めてんの?』


「んー……どこだと思う? 手ではないけど」


 その瑠花の言葉に。更にコメントがザワつく事となったのだった。


 その二へ続く

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