第11話 貴族・キャサリン

「ふん、そんなものがどうしたと言うんっ、、、だぐあぁっ!!!」


 盗賊の棟梁は、ゆうに50メートル程吹き飛んでしまった。

 僕は魔力を纏って殴っただけだった。

 そして、僕は地面を思い切り蹴った。


「いくぞ。」


 自分自身の力に驚きを感じつつも、怒りを抑えながら冷たく言い放った。


「「「ぐわぁぁぁぁ」」」


 盗賊の下っ端達は、僕の移動による衝撃波だけで吹っ飛ぶ者や気絶する者など戦闘不能に陥っていた。


「お前、いったい何者なんだよ!!!」


 そう言いながら尻餅をついて後ずさりをする盗賊の棟梁。


「僕は、、無属性の魔法師だ!」


 僕はそう告げるとともにトドメのパンチを喰らわした。

 盗賊達を縄で縛りあげるのをキャサリンと付き人の方も手伝ってくれた。

 ちなみに付き人の方はロンと言うらしい。


「アナタ、すごかったわね、、。魔水晶タートルの時がウソのようだわ。」


「さっきに関しては無我夢中で駆けつけたからね、、ハハハ。」


 実際魔水晶タートルの時は、僕1人で勝つにはかなり工夫しないと、あの甲羅に太刀打ちできなかったと思い返す。


「アナタならもしかしたら、もしかするかもしれませんわね。ロンもそう思うでしょう?」


「ええ、キャサリンお嬢様。私もそう思います。このお方であれば、我々の強力な味方になっていただけるかと。」


 キャサリンとロンは2人で納得したような顔でこちらを見てくるが、僕には何一つとしてピンと来なかった。


「アナタはこれからどうするつもりなのかしら?」


「僕?僕はとりあえず魔水晶タートルの魔石を使って防具の強化をするために、ランベルクへ戻ろうと思ってるよ。」


「そう、それならランベルクへ行ってからでいいわ。その後、隣接しているカレニアという街へ来ないかしら?」


「うーん、でも早く上のランクを目指したいしなぁ。」


「あら、カレニアにもギルドはあるわよ。それに、ランベルクでの功績はカレニアでも引き継げるわ。」


「じゃあ、一度ランベルクへ行ってからでもいいかな?」


「ええ、構わないわ。私にはもう時間がないから、なるべく早くカレニアに来てくれると助かるわ。」


 キャサリンはそれだけ言って、先にカレニアの方に向かっていった。


 付き人のロンも「先に行ってお待ちしております」と言い、詳細については明かさずに去っていってしまった。


「アル、どうしよう。」


「いいんじゃないかな、それに君の腕を見込んで提案してきたんだ。きっと君にとってもさらに成長できるがあるんじゃないかな。」


 そうさらっと、楽観的に言えるのがアルという人なのだ。僕は半ば諦め、抵抗しても無駄なのだと悟った。



 ◇◆◇◆◇◆◇



 ひとまず僕とアルは王都の隣にあるランベルクへと戻ってきた。

 理由は2つ、依頼達成と防具強化のためだ。


「無事依頼達成ですね。報酬金は魔石分含めて、500銀貨になります。魔水晶タートルの魔石は350銀貨で買取できますが、いかが致しますか?」


「あ、買取でお願いします。あと、この辺に工房があれば教えていただきたいんですが。」


「それでは、魔石はお渡し致します。工房は、、ギルド側で推薦してるのはこの2つの工房になります。」


 500銀貨は冒険者以外の職業の平均的な1ヶ月の給料にあたるので、冒険者というのはなかなか割は良い職業である。

 そんなことを思いながら、僕はギルド推薦の工房の一つへと向かった。

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