閉鎖ロンドン区域 

北木事 鳴夜見 

第0話 依頼人エリザへの返信

mail 返信 占い店フォーチュンバレッタ 業務用ぎょうむようアカウント


まず私が今日、店を開く前に伝えておく事があるわ。あなたが迷い込んだ閉鎖へいさされたロンドンの街には七つの常識じょうしきがある

一、法律ほうりつはない。

二、権力を持つ自警団じけいだん四勢力よんせいりょくある。コレは大事な知識だから少し説明が長くなるわ。

《自警団》 

 『セントラルタワーマンズ』 偽りの支配者が統括とうかつする自称「王族」王族とはいっても誰も彼らを尊敬そんけいしていないわ。中心街と一体になった原子力発電所を所有しているから誰も逆らえないだけ。人口約一万人くらいだと思う。

『クイーンズ』麻薬と金のことしか考えていない女王の手下でなる自警団。人口約五千人くらいかな。

『ハローズ』比較的ひかくてき平凡な奴らが住む。真面目なふりをした自警団ね最もかしこくて邪悪じゃあくでその上で争いを好まない。人口約八千人前後だと聞いている。 

『ストレンジャーズ』 そこらじゅうに散らばっている放浪者ほうろうしゃ。自警団とは呼べないけど一部ヒーロごっこをしている連中がいるから組織扱いされている

ちなみに私は孤独なタイプのストレンジャーズ(セントラルタワーマンズに住まいアリ)

三、閉鎖されたロンドンは壁に囲まれている。

四、天候てんこうはほとんどがくもり。たまに雨が降るくらい。

五、ストレンジャーズに当たる大半の民衆は外から来た人で構成されている。

私は二十代前半以前の記憶がないことから外の世界から来たのだと思っている。

六、この街に不動産業者ふどうさんぎょうしゃはいない。入りたい家に入ると良い 先入りがいる場合殺しても良いけれど自警団所属しょぞくだった場合は死体を消して身分証の写真をすり替えないとあなたが消される。私は前の住人の名前を借りているわ。

七、外に脱出したいのであれば好きにすると良い、この街の人口が減るのは良いことだから。


私が店を開ける時間は午前十一時よ、ベロニカの店 フォーチュンバレッタ。

アパートホテル 五十八 スワンプケンジントン通りの W● 6●にあるわ。

メールはスマートフォンでしているのでしょう。この街で使えるブラウザをインストールしているからメールもできるのだと思うけど。現代人のはずだから私の家の所在くらいはどうにかして見つけてね。


正午までに来なかったら死んだということにするからよろしく。


あなたがクイーンズの連中に二十万ドルを借りたことは聞いたからその金を丸ごと全部くれたら平和なハローズに夜逃げさせてあげるわ。


あなたの記憶がないことに関してなのだけど、それはこの閉鎖へいさされたロンドンにいる人達、皆がそうだから、いつの間にかこの街にいたのは何故なのか、誰かに聞いたりするのはおすすめしないわ。カモにされるだけよ。それとクイーンズには長居ながいしないことね。幸運を祈っているわ。


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