第7集 自動運転車

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 自動運転車は目的地を告げれば搭乗者を自動で連れていく。センサーが障害物を避け『無事故99.9%』が売りだ。私が尋ねる。「で、残りの0.01%は何の事故だ?」AI営業マンが応える「お子様をお一人でのせ、行方不明になる事です」


「塾に連れていって」目的地が塾に設定され、ドアがしまる。無理やり車に乗せられた子どもが呟く。「つまんないなー。動物園行きたいなー」『行き先を変更しますか?』「うん!お願い!」『行き先を変更します。近くの動物園を検索しています』塾から連絡を受けた母親が大慌てで警察に連絡し、数時間後、動物園の前で警察から厳重注意を受ける「未成年を一人で車に乗せないで下さい」


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『目的地付近に到着しました』見慣れないビルが自宅だった所に建っている。おかしい。もう一度住所を確かめるがやはり、ここが目的地らしい。お客様サポートに問い合わせると、警察がやってきた。

「ご家族が探していましたよ」


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 自動運転車の普及で行方不明者が大幅に増加し、この度、アップデートで追跡機能の搭載が義務化された。「先生、連れてきました」懇意にしている会社の社長が男を連れてきた。スーツ姿の男が恭しく名刺を差し出す「行き先書き換えサービス」。これでようやく料亭にも公用車で行けるな。

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