【完結】スクールカースト最下位の嫌われ令嬢に転生したけど、家族から溺愛されてます。

永倉伊織

第1話 ウルツァイトハートは砕けない

side:エリカ・ウルツァイトハート





『バシャッ!』


「きゃっ?!」



「「「ギャハハハハハ!」」」




一瞬何が起きたのか分からなかったけれど、下品な笑い声と頭から滴る水の冷たさで我にかえり


エリカ・ウルツァイトハートの記憶と、日本人の春山絵里香の記憶が一気に混ざり合うのが分かった。







私の名前はエリカ


デミトリアス・ウルツァイトハート男爵の次女で、今年で12歳になる


そして、私の前世は春山絵里香という名前の日本人だったと思う


自分の事なのに『思う』と言うのも変な話だけど、エリカと絵里香の記憶が混ざったせいで


凄くリアルな夢を見ているようでとても不思議な感覚だ。



そして、私が今居るのがオルヴィエート王国の王都にある


王立学園初等部2階に設置された女子トイレの1番奥の個室なのだけれど


こんな所で頭から水をかけられたって事は、苛め以外の何物でも無いだろう


私が水をかけられた後に聞こえた下品な笑い声は、日常的にエリカにちょっかいをかけているクラスメイトで間違い無い



絵里香の記憶が甦る前だったら、このまま1時間くらいは泣いていたかもしれない


でも今は、日本人の春山絵里香として生きた数十年の経験を記憶として受け継いでいる


クラスメイトから水をかけられて平気な訳では無いけれど、苛めという卑劣な行為に負けない程度の強さは備わったらしい


同時に苛めの原因も分かった


分かったと言うか元々知っていたと言うか変な感覚だけど、私の姉フレデリカが苛めの原因だろう。




この世界には魔法という物が存在する


火、水、風、土、黒、白、の6種類


そしてこの世界で数人しか使い手がいない、傷を癒す事の出来る白魔法の使い手それがエリカの実の姉である


フレデリカだ。



フレデリカは貴重な白魔法の使い手であるけれど、その事に奢らず日々努力を重ね学園では常に首席


王子の妃候補リストの1番上にも名前が乗るくらいに勝ち組コースを爆走中だ


そんなフレデリカに貴族の令嬢達が嫉妬しないはずが無いのだけれど、相手は貴重な白魔法の使い手


自分達がちょっかいを出してフレデリカに怪我でもさせたら、国の損失となり最悪の場合反逆罪に問われかねない


そこで標的が妹である私、エリカになったわけだ



姉のフレデリカとは違い私には特筆すべき能力は一切無い!


落ちこぼれという事も無いけれど魔法は基礎をマスターしただけだし


座学の成績も平均点付近を行ったり来たりでまさに


凡人の中の凡人!



まぁ優秀な姉が居なくても、学園で1番低い爵位である男爵家の私は苛めの対照にしやすかっただろうけど



日本人、春山絵里香は言っている


貴族には手を出すな!と


私もそう思う(笑)


公爵令嬢ならともかく、男爵令嬢でやれる事など無い



だがしかし!


昨日までのエリカとは違うのよ


エリカであり絵里香となった私は苛めなどという卑劣な行為には絶対に屈しない!



子供と仲良くなる方法は分からないけれど、子供が無理なら大人と仲良くなれば良いじゃん♪


って事で、いざ!






つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る